人間の強度を、紙の折り曲げや、刀づくりを例にしてたとえ話をしたい。
人間は最強に強いということがお分かりいただけるはずだ。
A4の紙は何回折ることができる?
さて、A4の紙を10回折れる人はいるだろうか。
通常は6回ぐらいが限界だろう。
10回は、簡単そうに見える数字だが、難しい。
なぜなら、折り曲げ行為は、累乗を意味する。
2の0乗=1
2の1乗=2
2の2乗=4
・
・
2の10乗=1024
現に、10回折り曲げると1024層になる。
乗数の値が大きくなるにつれて1回の累乗がパワフルになる。
A4紙の場合は、おおよそ6回が限界
64層だ。
7回目は、128層になる。A4紙では128層を素手で作り出すことは難しい。
層を重ねるほど強靭になることが予想できる。
日本刀は何回折り曲げて強度を増す?
昔の人は同じことを思ったのか、日本刀は、鉄をたがねで折り目を付けて何度も折り返す。
鉄は紙と違い、熱されて柔らかいイメージがあるため、何層も折れる気がする。
実際は、こちらの「折り返し鍛錬と強度 ♂」に書いてある情報によれば、12回~13回の折り返しで最高の強度を得るようだ。
12回の折り返しで、鉄の層は4096層になり、13回の折り返しでは8192層になる。
A4の紙6回の折り返しで作られた64層ですら強度があるように思われるが、鉄では4000~8000層である。
日本刀は強いはずだ。
人間の遺伝子DNAは人類の出現から何回折り曲げられて来た?
さて、我々のDNAは転写される。
精子と卵子の遺伝子の転写が世代を超えて繰り返される。
なるほど、男女間のDNAの結合は、まさしく紙や鉄の折り返してと似ている。
実際、遺伝子は何層になっているか仮説して計算してみよう。
寿命は時代によって変わるが、ざっくり1世代を30年と仮定する。
人類の誕生には様々な説があるので、アメーバまでは遡らないが、仮に、旧人類のネアンデルタールまで遡ると仮定する。およそ50万年前だ。
すると、
500,000 ÷ 30年 = 16666
つまり、遺伝子の折り返しは、「2の16666乗」ということになる。
先ほどの日本刀の折り返しですら、12回~13回だ。
過去からたくさんの情報が刻まれ進化した我々の遺伝子は、どれほど強靭なのだろう。
しかも、日本刀と違い、毎回違う素材(遺伝子)が折り込まれていく。
想像するだけでもワクワクする。
実際、人類の出現は700万年前と言われているので、「2の23万乗」ということになる。
イメージできるだろうか。
あなたの遺伝子、DNAは、過去の先祖のDNAを23万回折り曲げて叩きこんでいるようなものだ。
これを鉄人、いや、ダイヤモンド人以上と言わず何と言えよう。
人間は、最強の日本刀ですらティッシュペーパー以下のやわらかさに感じるほど強靭なのだ。
昨今、自信喪失している人は多いと思うが、人間の中に眠る可能性を信じて生きることは大切だ。
多くの先祖があなたの遺伝子に眠っている。
あなたこそが、唯一無二の名刀だ。
photo by Dan Culleton on Flickr
ミルキヅク