多くの企業が、訪問営業からメディア営業へ力を入れようとしている。
たしかに、人手不足や、買い手の情報入手経路の変化により、メディア営業が時代にマッチしているように見える。
現に、営業部門の生産性を向上させるツールを販売する業界は伸びている。多くの営業マンの人件費が営業支援サービスに流れた。
マーケティング部門と営業部門を分けている会社も多い。
マーケティング部門が引合まで担当し、見込客に育ててから営業部門に引き継ぐ。
しかし、マーケティング部門と営業部門には壁がある。アナログである人間と、デジタルであるデータは、理解し合うには時間がかかる。営業マンのプライドが見え隠れする。
賢い会社は、一見生産性が悪そうに見えても、その両部門を一緒にする。
マーケティングもやり、営業もする。
営業マンの価値を知る1つの問い
さて、営業マンと、メディア営業。どちらが大事なのだろうか?
まずは、「営業マンの価値」を深堀する問いをご紹介したい。
一度、全営業部で議論してもらいたい。
その問いとは、
この世から全営業マンがいなくなったらどうなるか?
正解はない。各会社で議論し合い、自問自答を深めて出た回答がすべて正解だ。深堀して考えた行為そのものが、営業マンという概念を進化させる。
人は、人に会いたくなる
人は、会いたくなる生き物だ。それが「情」というものだ。
生産性が良い事はわかっていても、人間関係が優先されることは多々ある。世の中は、人間の情や柵(しがらみ)でまわっている。
日経ビジネスの記事の中で、橋梁の落札案件で日本勢が韓国勢に負けたとあった。韓国勢の方が、人間関係を構築しようと努力したのがその理由であった。
技術が情に負けることは、日常茶飯事。
人間は基本的に怠惰で臆病。新しいモノは警戒する。また、情に引きずられる生き物。だから、何度も慣れ親しんだものを選ぶ。
一方、メディア営業では、反応率は上がるが、受注率が下がり、解約率が上がる。情が介在しない分、簡単に離脱できる。メディアの技術が優れていても、縛られる「情」がそこにはない。
人間の「情」は、「影響力の武器」で学習すると良い。ロングセラーだ。
情は粘着剤
情は、粘着のボンドだ。長年連れ添った夫婦が別れられないのも、ある意味、情だ。べっとりとへばりついている。
物理的な時間の共有は、連帯感を生む。
一緒につらい体験をすると、親しみを覚える。共に切磋琢磨し合うと絆が生まれる。苦楽を共にした絆は簡単に切れない。
お風呂に一緒に入ったり、接待で食事をするのも、絆を強くする。
人はお祭りごとが好きだ。人はみんなで一緒に達成することが好きだ。それが、強要であっても、何らかの絆や情が生まれる。
そうであるならば人間にどんどん接近する訪問営業は、これからも廃れない。情は、時代が変わっても変わらないからだ。
アプローチ時は、ニーズの有無の検討やフィルタリングをした上で、進化した御用聞きが大切になる。
訪問営業やメディア営業より大事な上位概念
さて、以上の話しは、すべて戦術の話しだ。
正直なところ、媒体営業も訪問営業も売上には大きな影響力は与えない。
現に、某、営業支援ツールは、平均で売上が3割程度増えた事実を提示していた。
しかし、業界や売上規模によるが、売上の3割アップでは、少ないと感じる社長は多い。
1億が1億3000万になるより、1億を10億、100億にしたい社長は多い。
世界全体の経済が、前年対比1割も成長しない中で、3割の伸びは、たしかに、すごい。
しかし、戦略の熟考は、桁が変わるのだ。
戦略と戦術の重みづけは、8:2だと考えている。戦略を熟考する社長は、売上を前年対比100%以上を達成していく。
では、戦略とは何か?
戦略をわかりやすく定義すれば、「何を」と「誰に」を決定することだ。シンプルに見えて、とても奥が深い。
事業は、最初の立ち位置でその後の成果が大きく変わってしまう。
だから、ソフトバンクの孫社長は、戦略を常に熟考している。
ミルキヅクは、次のような体系図を常に持っている。
戦略より大事な概念が構想力
戦略より大事な概念がある。それは、構想力だ。
構想力と戦略の重みづけは、9:1だ。
構想力が優れていると、爆発的に売り上げが伸び、継続して収益を得られる。
社長は、構想力こそ勉強してほしい。
孫社長がARMを買収する時のきっかけは、泥臭い訪問営業(戦術)だ。
だから、訪問営業が大事だという議論ではなく、大事なのは、ARMが提供する技術を手に入れたという事実(戦略:何を)と、それが生かされるビジネス構想を明確に描いていることだ(構想力)。
訪問営業も、媒体営業も、戦術レベルでは大事だ。しかし、売上に大きな影響力を持つのは、構想力や戦略部分である。社長は、それらを熟考されたい。
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