理念を探る前に、過去に、あなたにもっとも影響を与えたものを想起してほしい。それは、人だったか、本だったか、出来事だったか?どんな価値観が揺さぶられたのか?どのように人生観を変えたのかを振り返ってほしい。
理念は個人の価値観と深く結びついている。自分の価値観に影響を与えたモノを振り返ることで、理念の方向性のヒントになるのだ。
ミルキヅクの価値観に大きな影響を与えたモノは、ピューリッツァー賞を受賞したケビン・カーターの『ハゲワシと少女』だ。(←画像は外部リンクへ飛ぶ)
幸せとは何か?
『ハゲワシと少女』はミルキヅクが「幸せ」や「命」について熟考して悩んでいる時に見た写真だ。今にも力尽きて死にそうな子供をハゲワシが今まさに食べようと狙っている写真だ。
そこには人間の尊厳のかけらもなく、絶望感と無力感しかない状態で、一つの命が消えようとしているシーンだ。この写真は多くの人に、命や、幸せについて訴えかけている。
悲しすぎるとか、むごいという感情がある中で、少女の命は私たちに大事なことを投げかけている。この少女は客観的に見れば明らかに幸せではない。しかし、一方で、幸せの概念は、安易に語れないほど厳粛なものだ。
幸せという漢字の元々の意味
幸せという漢字の元々の意味は、手かせ足かせだ。昔の人は、捕虜で捕まって殺されれば不幸、生き残れば幸せと考えていた節がある。幸せの定義を考える中で、この絵を見た瞬間に、幸せとは「命あること」と瞬時に悟った。
この少女は、動く事も、話すこともできない。しかし、その命が、大事なメッセージを我々に投げかけている。そうやって彼女の命が使われた。彼女の使命が果たされたのだ。少女は、もちろん、そんな人生になるとも想像もしていなかったが、彼女の命は少なくともミルキヅクの価値観に大きな影響を与える使命を果たした。彼女の命は、ミルキヅクに幸せの意味を教えた。
また一方で、万物の霊長たる人間が、ハゲワシに食べられるようなことはあってはないけないと改めて誓った。貧困が撲滅されるためには自分なりにできる努力を精一杯しようと決意した写真でもあった。
みなさんも、どんなモノや人や体験やコトや現象に価値観が大きく影響を受けたであろうか?それは何をあなたに訴えかけたのだろうか?今一度、過去の心の動きを整理してほしい。
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