今回は人生を誘惑するワード「幸せ」について深堀していきたい。
寒い冬に温泉に浸かると、しみじみと幸せだと感じる。砂漠のような環境で働いた後の1杯の水は最高に幸せだと感じる。「幸せ」という概念は、わかりやすいようで、わかりずらい。好きな人と一緒になって幸せと感じていると、しばらくて、憎しみに変わる事も多々ある。新しいビジネスに成功したら幸せ。病気が治っても幸せ。
この得体のしれない、「幸せ」という感情に、我々は日々振り回される。だから幸せの定義を腹に落とし込んでおくことが大事だ。少なくとも1度は幸せについて、自分の考えを深めていくことが大事だ。
幸せの基準がわかると迷いが減る。人生の誘惑にも影響を受けない。
幸せとは何か?
幸せとは何か?日々の生活の究極の目的は、幸せのためにやっているようにも思える。勉強も仕事も。ところで、幸せな人は誰だろう。いろいろな尺度で幸せが議論されている。
お金があれば幸せ?
国民総幸福度という調査がある。デンマークやブータン王国が1位になる。デンマークは先進国で、ブータンは経済的に発展していない。しかし、それぞれの国で、自分の事を幸せと考えている。お金と幸せは無関係だろうか。
悩みが無くなれば幸せか?
人の煩悩は108ある。悩みが解決できたら幸せか?悩みがあっても幸せそうな人はいるであろうし、悩みがないという悩みもでてきそうだ。 悩みと幸せは無関係だろうか。
後悔のしない生き方で幸せになれるか?
後悔しないように生きれば幸せか?
オーストラリアの看護士Bronnie Ware氏が、死ぬ直前の患者の後悔をまとめた。
1. 自分自身に忠実に生きなかったこと
2. 家族との時間をあまりとれなかったこと
3. 自分の気持ちを表す勇気を持てなかったこと
4. 友人関係を続けなかったこと
5. 自分をもっと幸せにしてあげられなかったこと
これらすべて実行してたら幸せなのだろうか?上記は、しなかった後悔ばかりだが、人生にはしてしまった後悔もたくさんある。後悔の気持ちと幸せは別だろうか?
やりがいのある仕事は幸せか?
かつて、社員満足度1位を取った株式会社EC studioは、幸せを「心の豊かさ」と定義した。そして、心の豊かさを次のように説明した。
1. 経済的豊かさ
2. 時間的ゆとり
3. 円満な人間関係
お金持ちでも不幸せそうな人も多いし、時間を持て余してつまらなそうにしている人も多い。人間関係が崩壊していても、幸せの人はいるのではないか?社員満足度と幸せに関係性はあるだろうか?
感動があれば幸せか?
ソフトバンクの孫正義社長は、【新30年ビジョン】の中で、幸せについて、
1. 見る感動
2. 学ぶ感動
3. 遊ぶ感動
4. 出会う感動
5. 愛し合う感動
と伝えた。感動があれば幸せか?感動は一時のモノ。感動が無い平凡な生活は不幸せなのか?
人から強く必要とされたら幸せか?
ある女性社長は「幸せ」を次のように定義していた。
1. 褒められること
2. お役立ちができること
3. 人から必要とされること
4. 愛すること、愛されること
たしかに、一見すると、幸せになれるような気もしてくる。褒められるとうれしいが、うわべの褒め言葉は腹が立つ人もいるはずだ。また、愛がなくても幸福感に満たされている人もいるかもしれない。
幸せとは?
幸せの定義は各々違う。ミルキヅクは、幸せとは「なる」ものではなく、「である」という状態の事だと腹に落とし込んだ。
よく人は「幸せになりたい」という。「なりたい」と考えるから、幸せになるために疲れてしまうのだ。「なる」は動詞で、どうしても、「方向」と「距離」と「時間」の要素を持ってしまう。
そうするとビジネスでもお決まりの3点セットがでてくる。
方向=ビジョン
距離=目標設定
時間=時間管理
そして「ビジョン」の元、「夢」や「希望」という言葉で疲弊している社会人は多い。
自ら立てた目標設定に自らの首を絞めている。足元に咲く一輪の綺麗な花にも気づくことができないほど忙殺されている人も多い。夢の実現のために、1分単位での行動管理が求められるタイムマネジメントもある。タイムマネジメントしているつもりが逆に時間に支配されていることに気づいていない。
マズローは、人の欲求を、生存、安全、愛と所属、認知、自己実現でまとめた。しかし、これらの欲求は「もっともっと」という果てしない感情が入る底なし沼だ。もっと生活に余裕を、もっと愛を、もっと認められたい。もっと自分らしくありたい。きりがない。
幸せを「なる、ならない」軸で捉えると、「時間軸」と「条件」が発生してしまう。
幸せになるまで、xxをしなければいけない。幸せになるまで、xxの時間がかかる。条件付き幸せ観だ。頑張っている時間は、「幸せでない」とも言えてしまう。なりたいという動詞で幸せを捉える多くの人は、未来の幸せを信じて、歯を食いしばって今を生活している。しかし、たとえ、幸せを掴めても、まもなく、すりぬけるだろう。
幸せは感情ではない
「幸せ」を「快適度」と捉えると失敗する。国民総幸福度は、実は、国民総快適度だ。 人は常に快適さを求め工夫をする。だから、快適と幸福感は似た感じがある。しかし、騙されてはいけない。快適さは、感情から発生する一過性のモノにすぎない。
幸せとは
ミルキヅクは、幸せの定義を、「命があるという状態」と腹に落とし込んだ。要するに命あることそれ自体を幸せと捉えた。人生で起きる酸いも甘いも苦みも渋みも、すべてがうまみ。命があるからこそ味わえる。究極の定義かもしれない。
では、死んだら不幸か?との問いもあるだろう。「死んでみなければわからない」と考えている。ハッピーかもしれないし、そうでないかもしれない。または、そもそも、幸せを定義する必要のない時空であるかもしれない。それは、実際に死んでみないとわからない。
以上はミルキヅクの幸せの定義で熟考した内容であるが、セミナーでは受講生みなさんに「幸せ」について議論を交わし、それぞれが腹に落とし込むようにしてもらっている。時間のかかる作業だが、一番大事なところだ。
『理念実現書作成セミナー全40回』