「経営者目線に立ってやれ」と指示する社長は多い。
「だったら、経営者と同じ給与を払ってから言え」と、豪腕経営コンサルタントの一倉定は喝破する。
しかし、ミルキヅク的には、経営者の給与と同じでも、やらないと断定できる。
給与とモチベーションの相関関係は途中で切れる
なぜなら、給与とモチベーションの相関関係は、ある所で途切れることが研究調査でもわかっているからだ。
実感としても、そう思う。
要は、経営者のようにやる人は、言われなくてもやるし、やらない人はやらない。
さらに、お金を貰えるからやるのではなく、黙々とやっていたら、他の人より高い年収が高くなっていたと言うのが実態だと思う。
一部の例外の人はいるが、あなたの会社で年収の高そうな人を観察してほしい。
どんな行動をとっているだろうか?
彼、彼女は、お金が動機で動いている人は少ないはずだ。
報酬を決める本当の要因は何?
ところで、実際に報酬を決めるのは、責任の重さである。
だから、基本的に、そもそも責任が取れない役職の人は、給与も基本的に高くならない。
報酬は責任が取れるポジションにいることと連動する。
今は少なくなったかもしれないが、社長は必ず個人保証を求められた。
法人格があるのに、個人まで責任が及ぶのだ。上場していない中小企業の法人格と社長の人格は同一視されていた。
事業が失敗して借金を返済できず首を吊る社長が大勢いた。
だから、その責任の裏返しで報酬が高いのだ。
もはや、報酬ではなく身代金だ。
経営がうまく行っている時は、枕を高くして寝られるが、状況が変わって業績が急降下すると、首を洗って待っていないといけない。
連帯保証人に実印を押している社長の責任は重大だ。
従業員では押せないし、銀行もそれを要求はしないだろう。
能力給も大事だが…
蛇足だが、例外的に海外の大企業では高額な報酬が稀にあるが、極端な例だ。
いわゆる能力給の反映だが、よく考えてみてほしい。
1兆円儲けたからと、100億円の報酬は極端だ。
ある人は夢があるというが、少し行きすぎだと感じる人が多いに違いない。?
確かに、成果を出したことに対する報酬はできるだけ多く与えるべきであるが、一方で、何千人という人が、その人が考えた戦略を実行するために、裏方として必死で働いたことか……。
この世は役割分担の果し合いだ。
駕籠(かご)に乗る人担(かつ)ぐ人そのまた草鞋(わらじ)を作る人
ミルキヅクの好きな言葉だ。
経営者目線でと言ったあなたは・・・
話しを戻し、経営者は、従業員に、「経営者目線を持って」と言わない方がよい。
それは、経営者が無能であることを示している。
従業員に経営者目線を持たせなくても、事業を永続させ、従業員一同の生活の安定を守れるよう、粉骨砕身(ふんこつさいしん)して、戦略を熟考してほしいと願う。
そんな必死な姿に、一人でも多くの従業員がついてくると願いたい。
社長・経営者の仕事とは
ミルキヅク