一昔は、長時間労働が美徳な雰囲気があった。
しかし、最近は長時間労働がかっこ悪いという風潮になってきている。
潮目が変わった。
過労死が一番の原因なのだろう。
同一労働、同一賃金という話もでている。
まず、結論から言えば、今、過労が原因で自殺を考えいる人の保護を優先するということだ。
長時間労働や、同一労働同一賃金の議論は、いろいろな見方があるので、慎重に議論を行うとよいだろう。
日本は欧米化している?
9月26日の安部総理の所信表明で議員が立ち上がって拍手をしたニュースがあったが、欧米を意識しているのだろうか。
小泉議員もそれが”不自然”だったと振り返った。
「欧米=労働生産性が高い」「余暇を楽んでいる」というイメージがあるのだろうか?
また、そういった憧れがあるのだろうか?
本当に労働生産性が高いのか?
欧米では、日本より労働生産性が高い地域がいくつもあるが、本当に労働が効率化されているのだろうか?
ただ単に、物価が高いために、時間で割ると労働生産性の数値が高くなるだけではないのか?
労働生産性の公式は、ざっくりいえば
労働生産性 ≒ (粗利益 ÷ 労働者) ÷ 総労働時間
そうであるなら、物価がかなり影響をするのでは?
公平に労働生産性を測る公式もあるのだろうが……。
長時間労働の議論は過労死から?
長時間労働は、過労死の問題から議論されたのだろうか。
そうだとすれば、「労働時間の長さ」と「自殺」に相関関係はあるだろうか?
これは、あるレベルを越えたところから相関関係が強いと推測している。
個人的な経験からすれば、嫌いな仕事を1か月間、一日3時間睡眠ぐらいで続けたことがあるが、その頃は白髪が一気に増え、相当の鬱状態になっていた。
労働時間が短いのに自殺するケースもある?
一方、労働時間が短いのに自殺するケースはあるだろうか?
たとえば、本当はもっと働きたいが、賃金が少なくて生活できないから自殺するケースだろうか。
労働時間が長いのに、自殺しない人もいるか?
一方、労働時間が長いのに、自殺しない人はいないか?
いわゆる、仕事=趣味になっている人だろうか。
仕事が楽しくてたまらない人は、比較的睡眠時間が短くとも自殺することはないだろう。
睡眠時間を7~8時間確保して、残りの時間すべて仕事をしたいという人もいる。
そういった人は、週末も関係ないので、月に420時間ぐらい働く。
超・長時間労働だ。
昔の方が自殺率が高かった?
お年寄りの昔話を聞くと、「寝ずに働いた」と言われている。文字通りなのか、誇張なのかはわからない。
最低限の睡眠はとっていたとは思うが、本当に寝ていないとしたら、歯を食いしばって生きていたのかもしれない。自殺よりも、生きる執着が強かったのだろうか。
実際に過去も自殺率が高い時もあったが、2000年代の方が自殺率は高くなっている。
昔の方が長時間労働だったのに自殺率が低かったとも言えるか?言えるとしたら、昔の人が自殺しなかった理由は何だろう?
お互いに支え合うことや声をかけあう事だろうか?
現代の長時間労働による過労死は、一人で問題を抱えているような雰囲気に感じる。
ランチェスターの法則から推測すると
仮に、労働時間の規制が厳しくなると、「質」が重視される経営になる。
しかし、いずれにせよ、質は数年で追いつく。
ランチェスターの法則では、質が同じならば量が多い方が勝つ。
結局、競争に勝つために、「労働時間」が長い方が勝つということになる。
そうなった時に、規制との関係で難しい局面を迎える。
ちなみに、競争が発生する根本的な理由は、我々の「もっと快適でありたい欲」である。
我々に購買欲が無ければ、そもそも競争などする必要はないのだ。
つまり、長く働く必要もないように思える。
同一労働同一賃金の公平基準
同一労働同一賃金を、英語では、equal pay for equal workというらしい。
その基本的な考え方は、「個人の努力や意思で変えられない属性等を理由にした賃金差別の撤廃」のようだ。
正社員と派遣労働者では、同じ仕事でも、時給に換算しなおすと一般的には派遣の方が割安だ。
実際は、派遣の方が付加価値の高い仕事をしている場合も多い。
立場によって賃金が変わるのは学歴の話しとも似ている。
高卒、大卒、院卒では、給与に差があるところが多い。
高卒が大卒より仕事が間に合っても、給与が低いことは多々ある。
公平の捉え方にはいろいろある。
何をもって公平とするかは価値観の問題でもある。
たとえば、「かけっこ競争」では、次のような公平概念があるだろう。
- 結果をいっしょにするという公平(みんな同じ順位)
- 男子と女子に分けて走らせる公平(性別)
- 足の速い子は少し後ろからスタートさせる公平(能力)
- スタート位置に立てるという公平(機会)
同一労働同一賃金はどこに当てはまるだろうか。
同一労働同一賃金の視点を変えみる
労働の付加価値が低いのに賃金をたくさんもらっていることはないか?
逆に、労働の付加価値が高いのに賃金が少ないところはないか?
NPO法人などがそうであろうか。
そもそも、地域間、国同士によっても、同一仕事の賃金は違う。
コンビニ、ファーストフードなど同一労働と見なしやすい業種でも、地域によってアルバイト料金は違っている。
それはどのように調整を取るのか?
ところで、同一労働同一賃金をプロ野球に当てはめると、
- ヒット 10万
- ホームラン 100万
- 1つのショートゴロの処理 1万
- 1投球 1000円
- 1捕球 500円
はたまた
ピッチャー 1億
二塁手 5000万
センター6000万
捕手8000万
というように、同一の労働に対して同一の賃金が発生させられるだろうか?
それはプロ野球の話しだから、通常の社会人の話しとは別だという考えもある。
しかし、社会人もそれぞれの仕事のプロではないのか?
プロ野球選手で生き残る人は誰よりも練習している。
仕事でも結局は同じことになるのだろうか。
つまり、長時間労働をしないと生き残れないということに。
ところで、早急に対処しなければいけない長時間労働の概念とは、例えて言えば、監督が選手に1000本ノックを体がぼろぼろになるまで強制することだろうか。
長時間労働の根本的な問題は何なのか?
ところで、長時間労働の根本的な問題なんだろう?
- 仕事と対価が見合ってない
- 企業の儲けが優先されすぎている
- 各地域で生活するための最低限の賃金が得られない
- 管理体制の放漫
- 人手不足
- 社長の経営管理が甘い
- 事業がそもそも成り立っていないのに労働者を当てはめている
いろいろある。
知的労働の質を追求すると労働時間は減る?
知的労働が加速している。
ピータードラッカーは、その社会において「質」が大事だと主張する。
第一次産業、二次産業に使う農耕具や肥料や製造機械などの設計はまさに知的労働だ。
それらが改善されるだけでも、労働時間の大幅な短縮に繋がるだろう。
また、3次産業や、知的労働に携わる人でも、各種改善することで労働時間の短縮しつつ、従来の労働生産性を確保できるだろう。
- 最適な方法は何か?
- 情報共有はされているか?
- ファイルを探すのに時間がかかってない?
- 重複仕事はしてないか?
- 無駄な会議はしてないか?
労働時間遵守を徹底するということは(自由と責任)
電車の車掌だったか、労働時間が来たので仕事を切り上げて帰ってしまったという冗談のようなニュースがあったが、時間どおりにやり過ぎるのも問題だ。
労働時間を厳しく守るということは、逆に、雇用契約において、被雇用者側の責任も厳しくなるということだ。かなり息苦しい労働になるに間違いない。
タバコ1本も、のほほんと吸いにいけなくなるかもしれない。
長時間労働の改善の先にあるパラドックス
長時間労働の問題を社長が本気になって取り組んで「整理整頓」を行うと、同じ成果を5割の労働時間で実現できるようになるだろう。
すると今度は労働者がいらないと現象が起きるに違いない。
失業者が増えるようにも思える。
ところで、宇宙人がいるとしたら、労働はしていないだろう。
労働の基本的な目的はお金で、お金とは生活で、生活とは生きるということだ。
宇宙船に乗った宇宙人にあなたの仕事は何ですか?と聞いても、
「はぁ?」と、笑われるだろう。
人間もそう遠くなく未来に、労働から解放されるに違いない。
今は、「勤労の義務」という概念があるため、仕事をするのが当たり前になっているが、進化の先には、仕事をしなくても生きていける世界が実現しているに違いない。
ボタン一つで世の中が回る時代だ。
ヤフーが週休3日制を検討しているというニュースもあったが、労働時間は今後も短くなるだろう。そして、傾向としては、労働時間がゆっくりと0になっていく。
その生活がパラダイスかどうかはそれぞれの価値観によるが、要は働かなくても生きられる状態が成立する。
長時間労働の改善の先に、失業率の上昇が待っていると推測している。
すると、「ベーシックインカム」が導入されそうだ。
いろいろ書いたが、長時間労働で、今大事なのは、働き過ぎで自殺を考えいる精神状態の人をまずは早急に保護することだ。
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