NHKの『時空を超える』で、言語は時間と共にシンプルになるという実証実験をやっていた。
頭が良い人が、複雑な言語をシンプルにする工夫をするのか、言語能力が低い人に合わせて言語が自発的に変化し定着化していくかは不明だ。
言語はコミュニケーションツール。
そうであるなら、言語はどんな人にも使いこなせる程度にシンプルになっていくと仮説できそうだ。
シンプルイズベスト
ところで、意味のわかりにくい横文字は嫌われる。コンサルタントや学者は特異な概念を表したり、意味を明確に区別するために、一般人に、なじみのない言葉を使う。
一般の人と話す時ぐらいは、誰でもわかる言葉に置き換えて話せばよいのに、専門用語で話すから毛嫌いされる。
シンプル イス ベスト(simple is best)という言葉があるが、これは、複雑な道を通り抜けた後の、洗練されたシンプルさを表現していると考えている。
例えば、スティーブジョブズのプレゼンのスライドはとてもシンプルだった。
考えに、考え抜いて、シンプルさを究めた。
洗練されたロゴにもシンプル性を感じる。
「お口の恋人」は、記憶に残るフレーズランキングでよく1位を獲得しているがシンプルだ。シンプルだからこそ、記憶に残りやすくインパクトがある。
日本庭園もシンプルだが味わいのある世界が広がっている。自然との調和を熟考して、余計なモノをそぎ落とした結果できた芸術だ。
田中角栄のように、物事をわかりやすい言葉で説明できる人がいるが、相当考えてシンプルさを追求したに違いない。逆に、シンプルでなければ、末端の国民まで伝わらない。
複雑に見えても、根本要素はシンプル
そう考えると、「言葉が時間と共にシンプルになっていく」という現象は、人が考えに考え抜いた結果そうなっていくのだろうか。
自然界に見える複雑さは、シンプルな構成要素から成り立っている。
逆に、そもそも構成要素が「複雑」ならば無秩序が形成されると推測できる。
人間の体は複雑そうに見えるが、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルの遺伝子の組み合わせの違いで構成されている。
構成要素は少ししかない。
コンピューターの複雑な動作も、0と1の二進法で行われている。
そうであれば、語彙力が少なくても最低限の言葉の組み合わせで共感を得るコミニュケーションができるはずだ。
人間社会を構成する根本要素は?
社会は複雑だと言われるが、根本要素はシンプルに違いない。
では、社会を構成する根本要素は何か?
この世は競争社会でシェークスピアのような喜怒哀楽や憎しみ、恨み、嫉妬など様々な感情があるが、最後は「愛」で集約されるのかもしれない。
究極のシンプルは「愛」だ、とロマンティックなことも言えそうだ。
ところで、「アナと雪の女王」で、エルサのために身代わりになったアナの行為を見て、エルサは「愛」の感覚を瞬時に理解した。
その瞬間、エルサの心は、瞬時に、氷の世界から温かな愛情溢れる景色に変わった。
こういった映画が流行ること自体、人間社会は「愛」が根本要素であると推測できる一つの理由になる。
by Dhini van Heeren on Flickr
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