社長の悩みのトップ3は『売上拡大』『資金繰り』『人材教育』だろう。
社長がそれらに悩む根本的な理由は、強い責任感からだ。3つの悩みの目的は以下のとおり。
- 『売上拡大』→現在の粗利益確保
- 『資金繰り』→将来の粗利益獲得
- 『人材教育』→信頼の維持
1.『売上拡大』→現在の粗利益確保
なぜ現在の売上・粗利益が必要か?それは、従業員に給与を払っていくためだ。その他、仕入先への支払いもある。コストダウン活動はここに入る。
粗利益の公式は下記のとおりだ。
粗利益=売上-原価
だから、粗利益を上げるには、売上↑ 原価↓を実現すればよい。
原価↓の典型的な手法は仕入先を叩くことだ。しかし、それはセンスが良いとは言えない。例えば、メーカーであれば、原価は設計から見無し自分たちの知恵でできることから始めると良い。仕入先に協力を依頼するのは最後の最後だ。
一方、売上の公式は下記のとおり
売上=値段x数量
だから、売上を伸ばすには、値段↑ 数量↑を実現すればよい。
簡単にまとめる図のようになる。
以上のように、まずは粗利益の確保をするために直接関係するところから手を付けるべきだが、勉強不足な社長は何から手をつけてよいかがわかっていない。そして、PDCAだの、営業会議のやり方だの、褒める叱るやり方など、意味不明な指示を出し、従業員の努力と汗を無駄にする。
粗利益必達の計画書をシンプルに見える化して従業員と共に力を合わせて頑張ってほしい。
以上は営業マンレベルの話しだ。
社長はもっと重要な仕事をしなければいけない。それは、事業構想を考えたり、戦略を考えることだ。参考になる記事を準備した。「構想力」と「戦略」がキーワードである。
その他、売上拡大するために社長がすべき仕事の参考ブログ
社長の盲点~努力が報われるビジネスの重要要素|事業の「立ち位置」研究~
社長の儲ける力を高める参考ブログ!構想力と戦略を徹底的に磨く
社長の2Sは整理と設計!従業員の汗と努力を成果に繋げる時間と頭の使い方
2.『資金繰り』→将来の粗利益獲得
なぜ資金繰りが必要か?これも従業員の給与や仕入先への支払いである。また、企業が成長している時は、機会損失や黒字倒産の回避のための資金調達が必要だ。
急速に成長する企業では確かに資金調達が大事だが、大半の中小零細企業においてはもっと泥臭く、給与や仕入先への支払いのための資金繰りニーズが強い。
そうすると、「会計」と「資金繰り」が直接関係あると思い込み、一生懸命決算書の読み方を勉強する社長もいるが、まず優先すべきは粗利益の確保である。これさえあれば資金繰り確保の手段の幅が広がる。
決算書やPL・BSが苦手な社長はこちらを参照してほしい。10分でわかるようにした。
手形ではなく現金でもらってキャッシュフローを良くするなどとアドバイスされるが、それは、事業の体質によって支払条件の決定権者が変わる。例えば、喉から手が出るような魅力的な商品を作っている会社は自由に支払条件を要求できる。しかし、汎用品のようにどこでも買える商品の場合は買い手企業が強い。
『資金繰り』の根本的な解決策は将来の粗利益の確保を含めた安定収益の実現である。
2-1『売上拡大』
1の「『売上拡大』→現在の粗利益確保」を参考にしてほしい。
2-2『安定収益』
安定収益の実現のコツは、「進化」の積み重ねにある。「仕組み」や「ビジネスモデル」の話しが世間で多いが、そうではなく、一番大事な事は、製品・サービスの質である。これを圧倒的に顧客に合わせて磨かなければいけない。
中途半端に良い製品が多いのだ。圧倒的に顧客の心を掴まえる製品でなければいけない。まだまだピントが外れた商材が多すぎだ。
さらに、製品・サービスだけでなく、上流から下流の一連のビジネスの流れ全体を製品・サービスと捉えて総合的にビジネスを捉えることも大事だ。とはいうものの、まずは、製品・サービスからでよい。圧倒的に顧客から強く必要とされるモノを創ってほしい。
多くの経営者や社長は、経営の「安定」と「成長」を概念を別々のモノとして捉えている。しかし、事業の「成長」は安定政策の積み重ねの結果にすぎない。そして、安定は、「進化」で実現される。
逆に言えば、安定政策なき、成長政策は、脆い。
「成長」という視点で経営を考える必要はない。たとえば、成長を続けているソフトバンクが何に手を付けているかじっくり観察してほしい。携帯事業、インターネット事業、電気事業、ロボット事業、ICチップ事業、投資事業など、すべて、「安定収益が見込める事業」だ。
製品・サービスを使っても、使わなくても、定期的に支払いが発生する対象物に力を注いでいる。そういった事業を見つけ、参入し、戦力を集中させることで事業が結果として成長しているだ。そして、安定収益が見込める製品・サービスを常に進化させるのだ。
世の中は安定商品で溢れている。あなたが買う商品を振り返ってほしい。繰り返し購入し続けているものはないだろうか?
「安定収益」を見つける2つの切り口
顕在ニーズ
現に困っているのに、よい製品やサービスがない生活シーンをじっくり想定してほしい
潜在ニーズ
今は気づいていないが、これがあったら、当たり前のように使い続けると推定できるモノを研究してほしい
安定収益の課金方法は様々
製品・サービスが圧倒的に差別化されていれば、安定収益の方法はたくさんある。ライセンス、定期補修、定期券、従量制、定額制など、最適なモノを選べばよい。電気代、水道代、通信代、メンテナンス代など身の回りにある課金方法をよく研究してほしい。
3.『人材教育』→信頼の維持
最後に人材教育だ。なぜ信頼の維持が必要か?それは、社長を含めた従業員の、たった1つの間違いで、すべてを失う可能性があるからだ。人材育成はここに入る。人材教育は売上拡大の目的もあるが、一番のポイントは信頼の失墜の回避だ。
教育で倫理観を高めることは難しいので、そもそも犯罪が起きないような仕組みづくりを心掛けることが大事だ。
人材教育の難しさや時間の長さを考えると、良い人材を採用したいという思いもあるが、中小零細企業に優秀な人材は集まりにくい。とは言っても、優秀な人材でも犯罪を起こす。倫理感の高い人間は、大企業、中小企業に関わらず、分散している。
強いていれば、人材教育のポイントは、人材育成を成功させている会社の哲学に学ぶのが最短である。
その他人材育成に関する参考記事
PDCAが出来ている会社!PDCAは回すものではなく回るもの
以上社長の3つの悩みに関する解決策を提示した。従業員もつらいが、社長もつらい。打つ手を間違わず、社長を含めた労働者全員の生産性向上とやりがいの向上に繋がれば幸いだ。
ミルキヅク