理念を探す過程において、理念を目標のように捉えてはいけない。
なぜなら、理念は時に支配されない概念だからだ。達成するとかしないという次元で捉えられるものではない。英語でいえば、理念は状態動詞。目標は動作動詞だ。状態動詞は時間を持たない。具体的に説明しよう。
目標設定は、未来に向かって目標を設定する。下記の図のようになる。
目標設定は、現在地からみて標的を作って、そこにたどり着こうとする行為だ。目標を設定すると、必ず「方向」と、「時間」と、「距離」という概念がでてくる。その概念から派生するものは、ビジネスではおなじみの「ビジョン」・「タイムマネジメント」・「目標管理制度」だ。
「方向」は、ビジョン
「時間」は、タイムマネジメント
「距離」は、目標管理制度
そして、目標達成するために、同じ方向を向いて経営するとか、1秒1円のように時間をお金換算してスケジュール管理したり、PDCAを回したりする。「正直、うざい!」 というのが大半の労働者の心理だ。
会社や部署の目標を達成しても、何となく自分事のように感じないのは、それがあなたの理念から発生してないからだ。行動の理由が理念に基づかないと、むなしさを感じるのだ。
理念設定とは?
一方、理念設定は、「時間は、そもそも流れていない」という哲学を基準にしてる。時間は人間が作り出した人工的な概念で自然の摂理に時は存在しない。時間を強く意識しすぎるあまり、人生で大事なモノを見失う場合が多々ある。
理念設定は時間に囚われない。距離も方向性も持たない。時間の支配から解き放たれた理念は、あなたがあなたらしく生きている状態を実現している。
神学者マルティン・ルターの『例え明日地球が滅びるとも今日君はりんごの木を植える』ではないが、明日、地球が木端微塵になることがわかっていても、理念に従って生きるということだ。地球が滅びるというという考えは時間軸で物事を判断しているが、理念はそもそも時間に支配されない。だから、地球が滅びることなど関係ないのだ。
セミナーでは、理念もどきの目標がでてくる場合がある。仮にそれらが達成された場合理念は消滅することになる。理念は目標ではない。達成されて終わるものではない。理念は終わりなき旅なのだ。
『理念実現書作成セミナー全40回』