あるプロジェクトの調査で3000件程度の「鉄」関連のホームページを閲覧したが、感じたことをまとめたい。
鉄関係のホームページは全般的に古臭い
「鉄」関連のホームページは、まだまだ古臭いモノが多い。思うに、
- ホームページに予算をかけられない
- 社長が高齢で知識がない
- ホームページからの集客よりも、人間関係が受発注に影響を与える要素がまだまだ強い
そういった理由だろうか。
「会社案内」のグローバルメニューの位置
「企業情報」や「会社案内」がグローバルメニューのどこに表示されているかで、会社の業績との関連性が見えてる。
一部例外を除き、勢いがありそうな企業は、「会社案内」をグローバルメニューの右の方か、そこから外して表示する。
いけてない企業は、メニューの左の方に「企業情報」がある。顧客は、企業情報よりも、製品サービス情報を求めていることが多いので、顧客に対する配慮のなさが見えてくる。
ターゲットが明確
優良企業のホームページは、ターゲットが明確だ。誰に対する情報なのか、よく整理されている。ユーザビリティーも良く、必要な書類がわかりやすい位置に配置され、ダウンロードもしやすくなっている。
製品のジャンル分けが見やすい
優良企業は、扱っている製品がとても見やすく整理されている。
また、それらの製品にたどり着くための切り口が上手だ。たとえば、以下のようなジャンル分けが多い。
- 製品名ごと
- 規格番号ごと
- 用途ごと
- 場所ごと
「強み」をわかりやすく伝えている
優良企業は、何が強いのか一目でわかるようになっている。「顧客満足」とか、「納期」などと言ったありきたりな表現ではなく、明確なターゲットに向けて、明確なメッセージを表示している。
「強み」がはっきりしているので、ニーズがあれば、問い合わせしたくなる気分になる。
結局は大手2社
鉄関連の3000社を閲覧すると、多くの場合、新日鐵かJFEが絡んでいる。鉄業界は、川上が独占されているような業界である。川下は、そういった鋼材にどのように付加価値を付けて販売するかの闘いとなっている。
差別化が難しく四苦八苦している様子が伺える。
鉄工所は儲からないと言われているが、確かに、仕入金額、加工賃も、業界の相場があるので、大きく儲けることは難しい業界と言える。
カモフラージュされたホームページもある
ものすごく儲かっているのに、ホームページが古臭く、ユーザーの事をほとんど考慮していないホームページもある。ITなどの媒体を使わなくても、人間関係の繋がりがまだまだ濃い業界だと予想できる。 情報の入手側にもIT系の知識に弱いアナログ人間が多いのだろう。
ホームページが無くてもすごい技術をもった会社も潜んでいる
ある有名企業が、この3000件の調査リストに入っていなかったので、疑問に思ったが、時に、唯一無二の技術をもった会社は、ホームページすら作らないことがある。
英語対応していない
殆どのページが、英語に対応していない。つまり、中小企業レベルでは、鉄製品の輸出関係はあまり行われていないと推測できる。それほど、鉄は、差別化が難しい商材なのだろう。
資本金が少なくても目立っている会社
ITの知識が乏しい高齢者の社長とは対照的で、資本金が少ない若い社長がいる鉄会社は、ホームページの見た目でアピールしている。にぎやかに見えるページなので、儲かっていそうな感じがするが、実際はそれほどでもないと推測している。広告的であり、営業的である。
全国展開している会社は少ない
「鉄」という商材は、差別化が難しい。H鋼、I型鋼、丸鋼、平鋼、縞鋼板、角鋼管など規格品が決まっており、多くの場合、価格競争になる。
また、量がまとめらないと、運賃代の負担が大きくなることから、自社便で配達できる地元密着の企業が多い。
全国展開している会社でも、製造拠点は数か所で、営業所だけが主要都市にある場合が多い。
大手の鉄鋼会社は、地域密着の優良企業と手を結び、強い販売網を構築している。
まとめ
ある業界のホームページを徹底して研究してみることは有効だ。いろいろなモノが見えてくる。例えば、鉄業界は、IT業界とは違い、スピード感は遅い。
人は鉄と共に生きてきた。これからも、鉄の需要は続くだろう。
しかし、自動運転技術が確立し、車同士がぶつからなくなると、車体が鉄である必要が無くなり、ガードレールも不要になる時代が来るかもしれない。
IT知識に乏しい高齢者の社長が多い業界で、事業承継も、円滑には進みにくそうだ。
未来が厳しい業界だ。
ミルキヅク