仕事が遅い人や、やり方をしらない人への教育が面倒と思っている人は多い。
できない人への教育をウザい考えている人は、自分の能力が欠如している時も同様に、誰かからウザがられることを覚悟しているのだろう。
頭の良い人は、独学できるかもしれないが、その教材ですら、誰かが後に続くものを育成するために精魂込めて求め上げたモノだ。
人類は、お互いに知識を高め合って歴史を積み重ねている。
頭の良い人は、できない人の気持ちがわかりにくい。せっかちだ。
ネック工程は社会全体にもある
頭の良い人は、どんどんやっていけばよいが、会社レベルでもネック工程があるように、社会全体でもネック工程がある。
頭の良い人が前に進みたくても、ボトルネックが解消されない限り、世の中はゆっくりしか進まない。
ボトルネックとは、道路で言えば道の広さのことだ。ある所だけ広くても、部分的に狭いところがあれば、全ての車の流れは、その狭い部分の交通量しかさばけない。
だから、頭の良い人がどんどん発明しても、下が付いて来れなければ、実現しないのだ。そういったことは世の中たくさんある。
往々にして、頭脳が優れた人はボトルネックのことを忘れがちだ。頭が良いのに、だ。それは、自惚れでもあり、全体感を見る眼が養われていないからだろうか。
世の中は亀のようなスピードでしか進まない
世の中は、頭の良い人が想像するほど、早くは進まない。
それは、世界のGDPにも表れている。GDPとは経済を表す指標だが、突然、ある年だけ、前年対比100%ということなどありえない。
だいたい、2017年時点では世界全体で3%ぐらいだ。つまり、100できていたことが、翌年は103ぐらいできるようになるスピード感だ。
10できていたことが、10.3できるようになることだ。GDPの成長と年収はおおよそ連動する。なぜなら、それがGDPの三面等価だからだ。2017年では、日本の経済成長率は1%程度なので、年収も毎年そのくらい上がるのが普通だ。
年収300万が303万円になれば通常だ。
一方、前年対比200%アップや300%アップなどのように、猛烈な勢いで伸びている会社もあるが、それは一部の例外に過ぎない。株式市場でも同じ事が言えるが、全体の流れはお金の供給量に連動する。
世の中のスピード感を決めるバロメーター
社会全体のボトルネックを調整しているものは2つあり、一つは政府、もう一つが、人の臆病や怠惰さであると考えている。
資本主義は、GDPの3面等価でバランスが保たれている。「作る」、「買う」、「分配する」がバランスよく保たれていないと、経済はうまく回らない。
購買力だけが突出することはないのだ。購買できなければ、企業の売上は増えない。結果、分配が減る。購買力が無くなるので、経済は成長しない。
そのお金を調整しているのが政府だ。まさに、日本では、政府がお金をコントロールしているため、最近ではGDPの総量が増えている。賃金を上げてほしいと経済界に依頼するのもGDPのバランスをとるためだと思う。
お金が使われなければ、経済は鈍化する。だから、その分を政府が公共投資などで補ってバランスを保っている。
国債が増える理由も、実はそこにあるのだと思っている。今後も増々、国の借金は増えるだろう。それは、社会全体の低迷する「購買」というバランスを保つためだ。
スイッチングコスト
一方、人は新しいモノに乗り換えない。繰り返しが好きな人が基本的には多い。「今は間に合っていますから」と。
だから、営業マンの新規開拓も苦労する。たとえ、商品が明らかに現状のモノより優れているとわかっていても、理解してもらうまで時間がかかる。人は、基本的に、リスクを負いたくない。新しいモノに耳は貸すが実行しない人の方が圧倒的に多い。
そして、上記のマクロ的な動態はこれからも変わらない。世の中は常にボトルネックがある。そのスピード感を間違えずに捉えることが大事だ。
頭の良い人は、急いで生きるのも良いが、時には一息ついて、全体を見回すと良いだろう。頭の良い人の感覚では、世の中は、ゆっくりしたスピードでしか進んでいないことが理解できるだろう。
ミルキヅク