国の借金が増え続けている。2016年現在、1000兆円程度だ。国は借金をしているように見えて、していない。素人の推論だが説明したい。
会社の粗利益は、国でいえばGDPだ。GDPは、三面等価する。
すなわち、「生産(付加価値創出)」して、「消費」して、「分配」する。
「消費」なくして、「生産」なし。
「生産」無くして、「粗利」なし。
「粗利」無くして、「分配」なし。
さて、平成27年の国勢調査で、高齢化率は26.7%になった。
高齢者は、お金を持っている。現に、個人金融資産の6割を保有している。
お金は消費されなければGDPは等価しない。
高齢になるほどお金を使わない
高齢者がお金を使わない理由は様々である。
- 老後に備えて使わない。
- 土地などの不動産は持っているが、現金は少ない。
- そもそも、使い先がない。
- 購買意欲がない。
- 買いたいものの情報がない
特に、富裕層の高齢者は、普通に生活しても資金は余る。
この余った分が、景気を低迷させる。
もちろん、富裕層の高齢者の少ない消費だけが原因ではないが、影響度は大きいだろう。
一般家庭においても、消費されず貯蓄された分、景気が低迷する。
貯蓄に回せば、企業の売上が減少する。GDPの6割は個人消費だ。それが減少するということは、景気が悪くなる。
例えば、現在のGDPは500兆円だが、その6割の300兆円が個人消費だ。
例えば、50兆円分消費されなかったら、国は、GDPを3面等価させるために、50兆円分、借金をして世の中に回すのではないだろうか?
つまり、国が借金をしなければいけない理由は、消費を補うためだ。
それによって、GDPの三面等価が保たれ、経済が安定する。
「借金」と言われているが、実は、GDPの三面等価の調整金だ。
経済を安定させる重要度
労働人口の大半を占めるサラリーマンは、給与という安定収入で生活している。
この安定収入が確保できない世の中は不安定だ。だから、国は、世の中を不安定にさせないよう、各種政策をうつ。仕事を意図的に作り、お金を発行して経済を良くする。
国は借金をしたくて、やっているのではない。
国民の生活を考え、経済のバランスを取るためにしている。
貯蓄は、利息が無いと仮定すれば、消費の減少を意味する。
ほとんどの人はお金があれば少しでも貯蓄しようとする。
そういった人間の特性がある以上、国の借金が右上がりに増えていくのは当たり前のことだ。
貯蓄されて経済に回らなかったお金を補わなければGDPの三面等価が実現しないからだ。
国の借金がほとんど増えなかった時代
一方、国の借金がほとんど増えなかった時代もあった。
GDPの三面等価がされやすい人口構造になっていた時だ。
団塊の世代がバリバリ働いていた20代30代のころは、高齢者の人口は少なかった。
消費しない高齢者のお金と、若い団塊の世代の消費力はバランスが取れていた。
国は、積極的に国民生活に介入せずとも、経済はうまくまわっていた。
昨今は、人口減少による若者の消費力低下と、富裕層の高齢化による消費活動の減少でGDPの三面等価がとても不安定だ。国は積極的に経済に介入して経済政策を打つ必要がある。
例えば、典型例が、国債の発行だ。借金と言われているが、以上のような理由から本質は借金ではない。
国は、富裕層の高齢者のお金を、生きている間に動かしやすいよう、相続税や贈与税を工夫する。預貯金がうまく消費されれば、国は借金する必要はないはずだが、まず、難しいだろう。
国の借金を心配する声も多いが、心配はない。
ところで、国のお金を正々堂々といただく名目が「公共事業」だ。
ベーシックインカムという概念もあるが、働けるならば、公共事業という名の経済政策がやりやすい。
公共事業は、GDPを等価させる一つの手段でもある。万遍なく、底辺の人も含め、いろいろな業界にお金を循環させることができる。
国が借金をしなければいけない本当の理由は、GDPの三面等価を調整するためだ。
そして、今後もそれは続く。国の借金は増え続ける。
ミルキヅク