1つずつ足し合わせる

数列とは何か?

数列とは数字の並び。

 

1.2.3.4

 

2.4.6.8

 

などである。

 

 

その並びの中でも、数学では規則性のあるものを扱う。

 

 

 

規則性とは

おおざっぱに3タイプある。

 

等差、等比、階差。

 

 

等差数列とは、次の数との差が一定のもの。

等比数列とは、次の数にある同じ数を掛けていったもの。

階差数列とは、次の数との差が数列になっているもの。

 

 

等差数列の例

2.4.6.8.10

 

差は2

4-2=2

6-4=2

 

この一定の差のことを公差という。

 

 

等比数列の例

2.4.8.16.32

 

2x2=4

4x2=8

8x2=16

 

2をかけている。

この一定の比を公比という。

 

 

階差数列

1.2.4.7.11

 

2-1=1

4-2=2

7-4=3

11-7=4

 

次の数を引いた数列を見ていくと、1.2.3.4という公差1の等差数列が現れた。

 

 

数列で何がしたい?

で、数列は何がしたいの?

 

2つである。

 

数列がやりたいこと

1つ目は、n番目の数を知りたい。

2つ目は、数列の合計を知りたい。

 

1つ目のことを「一般項」という。

2つ目のことを行列の和といい、Σ(シグマ記号)で表す。

 

よって、一般項とは、n番目の数を知る式のことである。

 

一般項」という言葉は、何か抽象的な響きがするが、中身は、n番目の数を知るという具体性がある。「n番目を知る項」と名付けた方がわかりやすいのかも知れない。

 

 

では、一般項を求めるは何がしたいからなのか?

 

数列の和を求めたいから。

 

数列の和を求めるには、数列がいる。

 

何番目はどんな数かを知っていないと足せない。

 

その何番目はどんな数を知るのが「一般項」である。

 

 

では一般項の具体例を見ていこう。

 

 

一般項の具体例

 

等差数列の一般項

 

 

この公式は等差数列の一般項を求めるもの。

 

 

a_{n}=一般項

a_{1}=初項

n=n項目

d=公差

 

初項とは、数列の一番最初の値。

 

たとえば、

初項1、公差1の等比数列があったとする。

公差とは、次の数との差のこと。

 

第1項目はいくつ?

 

上記の公式に代入してみる。

 

a_{1}=1+(1-1)=1

 

第2項目は?

a_{2}=1+(2-1)=2

 

第3項目は?

a_{3}=1+(3-1)=3

 

 

よって、以上の3つの計算から、1.2.3という数列が現れた。

 

 

で何?

 

この1.2.3を足したい。

 

そこで登場するのがΣ(シグマ)である。

 

Σはその1.2.3を足せという指示。

 

ではなぜ足したいの?

 

それは、Σを使いたいそれぞれの人の事情による。

 

役立つことや便利なことがあるからだ。

余談:この公式には、末項がない。末項とは、数列の一番最後の値。つまり、末項の情報が無くても等差数列の一般項は解けると読みとれる。

 

 

 

 

Σとは

Σは数列を合計するもの。

 

たとえば、1.2.3.4・・・n項目まで行列を全部足したい。

 

しかし、それを記述するのは面倒。

 

 

そこでΣ記号を使って、上記の意味を明解に表現する。

 

 

 

Σじゃなくてxではダメなのか?

数学は未知数を求めるもの。

 

未知数を求めるために記号を使う。

 

Σは、数列の合計という未知数を求める記号。

 

ところで、Σという記号でなくて、xという記号では駄目なのか?

 

ダメである。

 

xという文字だけで、数列の和を求めよという指示が読み取れるだろうか?

 

余談:Σはギリシャ文字。アルファベットのSに該当。Sは合計するのSum。

 

では、Σの意味を具体的に見ていこう。

 

 

 

Σ記号に付随する者たち





まず上記の記号の説明をしよう。

 

上記は、Σの右にある一般項kに、最初1を入れる。

 

最初に1を入れるという指示は、Σの下にあるk=1。

 

Σの下にあるk=1とは、Σの右にある一般項最初に代入する値

 

初項のことではないので注意!

 

 

たとえば1.2.3.4という数列があった時に、初項は1である。

k=1の1と、初項の1は同じ数字であるが、意味は全く違う。

 

 

k=1は、一般項に入れる最初の値。

 

初項とは、その結果でてきた最初の数列の値。

 

例えば2を最初に代入するなら、k=2となる。

 

すると、初項は2になる。

 

ここでもk=2と初項が一致しているが、一致するのは一般項がkだからである。

 

一般項がk+1なら、最初に代入する数と、初項は一致しない。

 

すなわち、k=2 初項はk+1のkに2を代入して3となる。

 

 

 

どこまで足すのか?

では、Σの上は何を表すか?

 

一般項に対して、最後に代入する数である。

 

 

最後に代入する数とは末項ことではない。

 

 

たとえば、以下のΣの意味は、

 

 

まず一般項kに3を入れる(Σの下のk=3より)

 

これによって、数列の最初が3とわかる。

 

3の次はKに何をいれていくのか?

 

何度も繰り返すが、Σの横は一般項。

一般項とは、何番目の値は何?を求めるもの。

 

この何番目という日本語に注目してほしい。

 

何番目という表記に、0.1番目、0.2番目とか、√2番目とかあるだろうか?

 

通常は、1番目、2番目と+1ずつ増えていく

 

よって、k=3を代入した次はK=4。その次はK=5と+1ずつしたものを代入していく。

 

Σで、なぜ1ずつ増えた数を一般項に入れていくのだろうと疑問に思った方はこれでわかったはずだ。

 

つまり、一般項の意味を明確にわかっていなかったことが原因である。

 

 

 

ではどこまで続けるのか?

それを指示しているのが、Σの上の数。

 

一般項に対して、最後に入れる値である。

 

よって、以下の場合は、

7まで入れたらおしまい。

 

すると、このΣが表す数列は3.4.5.6.7となる。

 

これを全部足してねというのが意味である。

3+4+5+6+7=25

 

よって

 

 

 

ところで、

 

 

 

の一般項のkがk+1だったら、

 

最初k+1のkに3を代入して、3+1=4

 

以下同様で、kに7を入れるのが最後なので、7+1=8

 

数列は4.5.6.7.8となる。

 

これを全部足せというのが上記のΣの意味。

 

 

 

 

 

Σの上は項数でもない

仮にΣの上のnが項数を示すなら、Σの意味が変わってしまう。

 

仮に、項数として下記をやってみよう。

 

一般項に最初に入れるのが3

 

Σの上の数の意味を項数が7と捉えると、

3.4.5.6.7.8.9(項数7)

 

すると、3から9までを足せという意味に変わってしまう。

 

数列の個数が増えてしまっている。

 

Σという記号は数列を足すだけなのに、数列の個数を増やしてしまった。

 

 

本来の意味は、3.4.5.6.7を足せである。

 

3.4.5.6.7の初項は3で末項が7。

 

たまたまその数字は、Σの下の3と上の7の一致しているが、それは一般項がkだからである。

 

仮に、一般項がk+1なら、初項は4 末項は8になる。

 

それがΣの意味を勘違いしやすい理由の一つでもある。

 

 

 

 

勘違いしてしまう理由

Σの典型的なこの形。

 

k=1で、一般項がkで、Σの上の記号がnの時、項数の意味のnと、Σの上の記号のnが一致してしまう。

 

だから、Σの上のnを項数と勘違いしやすい。

 

また、項数が末項とも一致してしまう。

 

だから、末項とも勘違いしやすい。

 

 

勘違いしてしまうのも、仕方ない。

 

 

なぜなら、Σを勉強する前に、一般項をnを使って求めるからだ。

 

 

この時に、nという記号は第何項目という項数を表す記号と刷り込まれてしまう。

 

 

現に、等差数列の一般項の公式のnはn項数の意味で用いらているから勘違いしやすい。

 

 

 

 

 

さて、もう一度整理しよう。



 

すっきりとΣ記号の意味がわかっただろうか?

 

 

 

 

Σの応用

さて、シグマの意味が分かると下記の意味もよくわかるだろう。

 

k=0って何?

 

単に、一般項kの最初に代入する数が0と言っているだけ。

 

つまり、数列の最初は0から始まる。

0.1.2.…n

 

その合計を求めよという話。

 

例えば、Σの上のnが3なら、(⇐項数が3という意味ではない。一般項に入れる最後の値が3という意味。)k=0から、K=1、K=2、K=3と、Kが3になるまで一般項に代入して足せという意味になる。

 

0.1.2.3(項数は4)

 

よって、Σの意味より、0+1+2+3=6

 

 

 

k=1じゃない時

 

k=1がt=1になっている。

 

Σの下は、一般項に入れる最初の値。上記では、一般項にtがない。

 

 

したがって、t=1の時は、代入先がないので、答えはkのまま。t=2の時もk。

 

Σの上のnは一般項tに対して、最後にいれる値。

 

最後に一般項に代入するnがどんな値であれ、代入できる一般項tが存在しないので、最後にnを入れた時も、答えはk。

 

k.k.k.k…と続く。

 

つまり、何番目であろうと、その数列の値はすべてKと言っている。

 

 

これを全部足すわけだが、

 

 

最初に入れたt=1からnまで全部で何個あるか?

 

n個である。

 

よって、答えは n x kでnk。

 

ここで注意。

 

nkのnはΣの上のnではなく、項数の意味である。

 

 

 

 

項数はいくつ?

項数はどう数えるのか?

 

1.2.3という数列は数字が全部で3。

 

0.1.2.3という数列なら4。

 

-1.0.1.2.3なら項数は5。

 

項数の計算式は

項数の計算式

Σの上の数- Σの下の数 + 1

 

 

一般項がnだったら?

 

 

Σの下の記号は一般項の同じ記号に入れる最初の値だ。

 

 

Σの上のnと一般項のnが同じ記号だが、考え方は同じ。

 

t=1を一般項に入れたい。しかし、一般項にtはない。よって、t=1の時はn。t=2の時もn。t=nの時もn。

 

よって、

 

n.n.n.n・・・が全部でn個。

 

答えはnnだから、n^2

 

 

 

 

ではこれはどうだろう?

 

単に下記のΣのkがtに置き換わっただけである。

 

 

一般項のtに、tが1からn番目まで入れてねという意味である。

 

よって、その意味は、一般項tに、t=1から、n番目まで入れる。

 

つまり、1.2.3・・・n番目。

 

それらを全部足せ。

1+2+3+・・・n

 

という意味である。

 

 

 

一般項が定数だったら?

これもいっしょで一般項のkやtが定数の2になっただけである。

 

 

 

 

一般項が2とはどういう意味か?

 

数列は何番目でも答えは2と言っている。

 

つまり、

 

2,2,2・・・n

 

という意味だ。2がn個あるので、答えは2n。

 

 

では下記はどうか?

 

まったく上と同じである。

 

単に、Σの下のkがtになっただけ。

 

そして、一般項にtはない。

 

よって、すべての数列の値は2と言っている。

 

 

 

 

 

k=0 かつ n-1の時

 

さて、上記はどうだろう?

 

Σの意味通り処理すればよい。

 

最初は一般項kにk=0を代入する。

 

これが数列の最初の初項。

 

だから、初項は0。

 

一般項の最後に代入するのはn-1

 

よって、

 

0.1.2.3・・・n-1

 

後は0からn-1までの数を全部足せという意味。

 

0+1+2+3+・・・n-1

 

n-1はnから1を引くという計算ではなく、(n-1)、つまり、nから1を引いてでてくる1つの値の事である。

 

 

ところで、この数列の項数はいくつあるか?

 

 

項数の計算式

Σの上の数- Σの下の数 + 1

 

n-1 - 0 + 1 = n

 

よって、n個である。

 

 

 

 

一般項はなぜkで表すのか?

全部nだと混乱するから。

 

すなわち、nは①項数の意味にも、Σの上に付いて②一般項の最後に入れる数の意味にも使われる。

 

さらに、Σの下にもnを使ったら、一般項の最初にいれる数の意味になり、nを3つの意味で使うことになり混乱する。

 

そこで、kとした。

 

 

 

上記のΣを見ると、「うーむ。意味不明だ」と思わないだろうか?

 

一般項nに、1を入れる。

 

nまで入れる。

 

でもn=1だから、nは1つしかないのかな~?

 

などと泥沼にハマっていく。

 

上記の話と似ているのがf(x)=xである。

 

関数f(x)のxは変数の意味で、右辺のxは、未知数の意味で使っている。

 

同じ記号なのに、違う意味で使うから数学は混乱するのだ。

 

ちゃんと書いてあっても、気づくのに時間がかかる。

 

 

Σと∫の違い

Σは数列

∫は積分

 

 

数列と行列の違い

言葉は似ているが全く別物。

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