東京ビックサイトのBtoBの展示会によく行くが、営業方法をもう少し工夫できないものかと思う。
前回は、営業が上手なはずだと予想して、「営業支援の販促expo」に行ってきた。
しかし、期待外れであった。印象に残ったのは以下の2点だ。
- キャッチコピーが洗練されているがゆえに目立たない
- 販促ツールは豊富だが、視点が全部同じ
洗練されたキャッチフレーズのパラドックス
キャッチフレーズが、どのブースも、オシャレで鋭いフレーズだった。
しかし、そうであるために、余計にどこも同じに見えた。夜空に輝く一つの星なら目立つのだが、星があり過ぎるのだ。全体がチラついて、せっかくのキャッチコピーのインパクトが消されている。
そのパラドックスに、キャッチを一生懸命考えた人は気が付いているのだろうか……
当事者は盲目になりやすい。全体を俯瞰できる人を展示ブースに用意して、傍観者として観察させると気づきも多い。
お客の導線や目の動きを良く観察してほしい。ブース内で話している顧客の表情なども観察してほしい。営業マンが話しばかりして、逃げたがっている感情に気が付いていない場合が多い。もしも、その間に本当の見込客が通り過ぎたら…。
また自分たちの展示ブースが、全体の配置の中で通行者からどのように見えているのかを冷静に観察してほしい。
販促ツールのコンセプトが同じようなモノばかり
販促ツールも似たようなものばかりだ。販促ツールの基本コンセプトを同じに捉えているからだろう。
つまり、「何かの媒体」に「企業広告を載せる」
たとえば、「媒体」が、ペン、メモ、下敷き、ファイル、鏡、ティッシュと、いろいろあるが、それに「企業広告」を載せているだけだ。このような発想では差別化は難しい。
展示会で見込客を探すのではなく、想定している見込客に展示ブースに遊びにきてもらう仕掛けをたくさん考えてほしい。
ごり押し営業で展示ブースが台無しに
ブースの前を歩いていると、営業マンらしき人がすぐに声をかけてくる。「1分だけ、お時間をください」と。展示ブースのキャッチコピーを読んでいるのに、声をかけてくる。
また、キャッチコピーとニーズがマッチしているので、ゆっくりブースを見ていると、すぐに丁寧に話かけてくることも多い。
その営業マンに、断固として拒絶できる者はよいが、多くの人は、聞きたくもない説明を、忍耐強く、聞くフリをしている。相手様の展示ブースだから気を使うのだ。
―――ゆっくりと見たいのに……
その心理をぜんぜんわかっていない。
営業マンは話かける前に、閲覧者の顔色をよく観察しなければいけない。
お決まりのセリフ:「名刺をください」は、やめよう
展示会ではお決まりだが、少し話しをすると「名刺をください」と要求してくる。展示会の盛況ぶりを名刺の量で評価しているのだろうか。まったく、的外れだ。
本当にニーズがあれば、見込客から名刺を出してくるものだ。そういった名刺は大事にいしなければいけない。
定番のお礼メール
名刺を渡すと、展示会終了後すぐにお礼のメールが来る。少し気の利いたところは、時間をおいてお礼のメールが来る。しかも、画一的な内容で。一度たりとも、個別のお礼メールをもらったことがない。
会社から言われてお礼メールを出しているかわからないが、それが、迷惑メールになることを、「真面目に仕事をしている」送信者は、気付いていない。
今は一度でもジャンクメール扱いに振り分けされたら、二度と受信ボックスには入らない。THE ENDだ。
メールアドレスを変えて何度もアプローチすればよいと考える会社もいるが、論外だ。
信頼を失うだけだろう。
過去の一例であるが、心を込めた個別のお礼メールを1通送り、結果1億円の案件に繋がった事例もある。
「万が一」より、「意図的な1」を狙う
見込客でない人にお礼メールを送る行為自体が非効率だ。すぐにやめるべきだろう。
しかし、将来の「万が一」の反応に期待して行う会社は多い。「万が一」を期待するなら、意図的に「1」を狙っていくべきだ。
展示会はブース設営と人件費で数百万する。その数百万の使い方をよく研究してほしい。
同じ会社で働く同僚が一生懸命働いて蓄積した粗利益から捻出された費用だ。みんなの努力と汗の結晶を「善意な頑張りで」無駄にしてはいけない。
特に、社長や、展示会の出店を決める人、そして、展示会の担当者は、よく人の動きや心理を客観的に観察することだ。展示会全体を誰よりも俯瞰して企画してほしい。
展示会を成功させる自問自答
展示会にう出店する前に、下記を自問自答してほしい。
- ターゲットはその会場に来ているか?
- そもそも、貢献すべきターゲットとは誰なのか?
- 想定外の客や想定外の問い合わせがあった時に、会社にフィードバックし検討する体制ができているか。
展示会は、やり方次第では、非常に効率的な集客と認知方法だ。1箇所に全国から集まってくるのだ。その導線を最大限利用してほしい。
最後に、展示会の開催日だけが展示販売ではないというヒントを最後に書いておこう。
展示販売の営業は、その前から始まっているのだ。当日は、見せかけのお祭りにすぎない。
ミルキヅク