【最終更新日2017年5月8日】
ビジネスでは「業界」というものがある。
『会社四季報 業界地図』に業界マップがある。
たとえば、トップ3の業界規模は以下の通りだ。
- 「不動産」で56.2兆円
- 「電機大手」で47.2兆円
- 「建設」で46.2兆円
出典:『会社四季報 業界地図 2016年版』
それぞれ、市場規模があって、1年単位で見れば、比較的安定している。
時代によって、急速に伸びる業界もあれば、急降下する業界もある。
多くの労働者がサラリーマンであって、給与という安定収入の仕組みで生活している。
「業界」自体は、毎年、それほどスピーディーに変化しない。
あまりに急速に衰退すると、多くの失業者を出し景気を悪化させる。
また、あまりに急速に成長すると、人材確保が難しくなり、需要と供給の関係で、異常に賃金が上がる。
さらに、人は、怠惰であるため、なかなか新しいモノを導入しない。
多くの労働者が前年と90%は同じことをしている。過去の資料を使いまわして仕事をする。
10%でも新しいことにチャレンジしていれば良い方だ。
人は、警戒心が強く、怠惰だ。面倒なことは丸投げをする。
また、従来からの人間関係を大切にする。
だから、世の中は、ゆっくりしか進まない。
それが自然の法則でもある。自然界は、急いで変化しない。
衰退しないために『本質的なニーズ』を捉える
さて、どの業界も細々と生き残っていく。
時代とともに、形や名称は変わるが、本質部分は変わっていない。
そこに「本質的なニーズ」が存在するかぎり。
西暦2000年ごろ、楽曲がインターネットからダウンロードできるようになった時、多くの人が、音楽業界は衰退すると予想した。
現に、その後、CD屋は、どんどん街から姿を消して行った。
バンドマンや歌手などの収入源も減るだろうと多くの人が予想した。
しかし、たしかに、販売方法の激変で一時の混乱はあったが、今は、試行錯誤しながら、音楽業界全体の市場規模が調整されつつある。
なぜなら、「良い音楽を聴きたい」という本質的なニーズは無くならないからだ。
定額制はWIN-WINのビジネスアイデア
最近では、ビデオ、本、雑誌、テレビ、音楽も「定額料」という仕組みが定着しつつある。(2016年8月)。
これは、業界にとっても、消費者にとっても、良い制度と言える。
一見、定額制は売れるアーティストにとって、「不公平」に映る。
しかし、「一人や一組のアーティスト」視点ではなく、消費者の視点から「よい音楽全体」という視点で捉え直した時、価格戦略は大きく変わる。
定額制のアイデアを最初に閃いた人は、両者にとってのメリットをよく理解していた。
その制度の、本質を理解できたアーティストや音楽業界は、「なるほど、そういうことか」と思ったに違いない。
定額制は、高い確率でうまく行くだろう。そして、それは、アーティストや音楽業界で働く人たちの安定収入にも繋がる。
楽しいビデオを見たい、感動する本を読みたい、面白い雑誌をみたいなど、本質的なニーズが存在する限り、業界は衰退しない。
カメラ業界は、本質的ニーズの深堀が必要
カメラ業界は特殊で、「本質的なニーズ」を音楽業界よりも深堀して考えないと本当に衰退する。
かつてアナログカメラで一世を風靡したコダックは、現に、倒産した。
顧客の「本質的なニーズ」を読み間違えたのだ。
カメラの本質的なニーズは何であろうか?
- 綺麗な画素数の写真がほしい
- 枚数をできるだけ多く撮りたい
- 時を記録したい
- 想い出を記録したい
- 瞬間を記録したい
- 現場状況を残したい
いろいろあるが、共通する本質的なニーズは、「記録」である。
「記録」がニーズならば、コダックのようにアナログに固執してはいけないし、デジカメでも安泰とは言えない。今は、スマホのカメラがデジカメの「記録」というニーズを飲み込んだ。
しかし、スマホのカメラでも不十分だろう。
今後は、スマホは、スカウター式カメラに変わり、人生のすべてを記録するようになる。
その後は、おそらく、スカウターという形は変わるが、目に見えているものの記録と同時に、体内の状況を常時記録する媒体が主流になるだろう。
すると、何かを「記録」すること自体が、空気のようになる。
人は何も意識しなくても、全ての行動が記録されるのだ。
だから、カメラの技術を持った企業が生き残るには、
- 一生涯の記録装置を作る
- 生まれた瞬間から記録できる仕組みを構築する
以上の2つを磨くことである。
社長は本質的ニーズを良く熟考する
音楽業界、カメラ業界の話をしたが、どの業界でも、その本質的なニーズは何かを常に考えて事業構想を練ることが大事だ。
特に、社長は、高次の視点から、業界が提供している本質的なニーズを自問自答し続けてほしい。
人が日常生活において、考えることや、やることに、大きな変化はない。
糸井重里さんの有名キャッチに凝縮されているが、食う、寝る、遊ぶだ。
実例で本質的なニーズを練習
メルカリに食われるリユース業界の悲鳴という東洋経済の記事があった。
中古業界の本質的ニーズは何だろうか?
リユース顧客の本質的ニーズ
- 使わないモノを高く売りたい
いらなくなったものを売りたいニーズは今も昔もある。
中古業界は、「所有欲」と「金銭」の妥協点を埋める業界ともいえる。
これからも、リユース業界は衰退しない。
しかし、仮に、人間の所有欲が減ると、リユース業界の本質的なニーズを捉え直さなければいけない。
共有社会が当たり前の世の中では、「まだ使えるモノの有効活用」が本質的なニーズになる。
所有欲や金銭とは無縁なため、いかにボタン一つでモノを共有できるかがビジネスのポイントとなる。
最後に、本質的なニーズの深堀で社長に100億以上のヒントをもたらす記事をご紹介したい。
どんな時代にも通用する本質的ニーズの深堀
ミルキヅク