割り算は掛け算

割り算はひっくり返してかける?

分数の割り算はひっくり返して掛けると習った。

 

しかし、本当はx1をしているだけである。

 

分数のまま回答してよいなら、以下の状態でもよさそうだ。

 

何も、分子や分母が分数ではだめというルールはない。

 

 \dfrac{2}{3}\div \dfrac{3}{5}=\dfrac{\dfrac{2}{3}}{\dfrac{3}{5}}でよい。

 

 

しかし、値の \dfrac{\dfrac{2}{3}}{\dfrac{3}{5}}は見た目が気持ち悪い。

 

 

分母を1にした方が見やすいので、 \dfrac{\dfrac{2}{3}}{\dfrac{3}{5}}の分母である \dfrac{3}{5}を1にしたい。

 

1にするにはその逆数を掛けてあげるとよい。

 

 \dfrac{5}{3}\times\dfrac{3}{5}=1となる。

 

そこでこの \dfrac{3}{5}を分母分子にもってきて1を作る。

 

それを掛けてあげるのだ。

 

 \dfrac{\dfrac{2}{3}}{\dfrac{3}{5}}\times1

 

1を \dfrac{\dfrac{3}{5}}{\dfrac{3}{5}}で構成する。

 

 

 \dfrac{\dfrac{2}{3}}{\dfrac{3}{5}}\times\dfrac{\dfrac{3}{5}}{\dfrac{3}{5}}

 

 

 

すると分母は1になるので、後は分数で構成されている分子の掛け算になる。

 

 \dfrac{2}{3}\times\dfrac{3}{5}= \dfrac{6}{15}

 

 

結果として、分数をひっくり返してかける形になっているが、やったのはx1。

 

 

 

 

割り算は掛け算

割り算は分母分子をひっくりかえしてかける」というならば、割り算は掛け算だということだ。

 

その見方を得ると、割り算で違った風景が見える。

 

次の問題を解いてみよう。

問題:2ℓの水を0.5人で分けました。一人当たり何ℓ? 

2ℓ÷0.5人=? 

 

0.5人で割るとはどういうことか?

 

0.5は \dfrac{1}{2}

 

割り算なのでひっくり返して掛ける。

 

つまり0.5で割るとは \dfrac{1}{2}をひっくり返してかけると同じ意味、つまり2倍するという意味だ。

 

 1\div\frac{1}{2}は1x2と同じ意味になる。

 

ここで、 1\div\frac{1}{2}と1x2の違いを見てみたい。

 

 

 1\div\frac{1}{2}について

 1\div\frac{1}{2}の式の最初の1を \frac{2}{2}で構成すると分母が2で同じ値になる。

 

 \dfrac{2}{2}\div \dfrac{1}{2}

 

分母が同じなので、分子だけで見てみると2÷1

 

分数は分母を基準に分子をみている

 

2÷1= \dfrac{2}{1}とは、つまり、分母が1の世界からみて2(分子)あるイメージになる。

 

 

1x2について

一方、1÷ \frac{1}{2}を掛け算的に捉えると、ひっくり返してかけるので1x2となる。

 

1x2は掛け算。x2とは、1に2という性質を付与した意味。

 

計算式は同じなのに、割り算的にみるか、掛け算的にみるかで見方が変わる。

 

こういった見方は物理で威力を発揮する。

 

 

 

x1の計算テクニック

ある数字を掛けて、ある数字と同じ数字で割るとは、x1をしているに過ぎない。

 

たとえば、 \times1\div1\text は\times\dfrac{1}{1}と同じ。

 

つまりx1をしているにすぎない。

 

同様に、2をかけて2で割るとはx1と同じ意味。

 

 \times2\div2=\times1

 

これは計算テクニックに応用できる。

 

50x24は?

50x2=100 (先に2倍)

100x24=2400

2400÷2=1200 (2で割り戻す)

 

 

x1の見通し効果

魔法のようなx1だが、見通しをよくするという効果もある。

 

たとえば、0.0001と0がたくさん付くと数字が捉えにくい。

そこで魔法のx1をしてみる。

 

0.0001x1

 

0.0001は0が4つあるので、1を0を4つ付けた \frac{10,000}{10,000}で構成する。

 

すると 0.0001\times\frac{10,000}{10,000}=\frac{1}{10,000}となる。

 

0の数を4つにした理由は、0.0001の0を消して1にするため。1にすると数字が見やすくなるから。

 

0.0001より \frac{1}{10,000}の方が感覚的に捉えやすい。

 

1万に1つ、つまり、万が一という意味だ。

 

 

 

 

x1の顕微鏡効果

先ほどは \times\frac{10,000}{10,000}したが、逆に \frac{0.00...1}{0.00...1}を掛けると、顕微鏡のように変化を見れる。

 

たとえば、 \frac{1}{2}は分母が2変化したら、分子が1変化する意味。

比で言えば1:2。

 

 \frac{1}{2} \frac{0.00...1}{0.00...1}を掛けると、 \frac{0.00...1}{0.00...2}となる。

 

 \frac{0.00...1}{0.00...2}は、ほぼ0の変化にも見えるが、そんな中でも \frac{1}{2}という変化が読み取れる。

 

これは微分に繋がる話である。

余談:拡大x縮小=1

x1の見通し効果と、顕微鏡効果を見たが、もっと極端に考えれば1は以下のように分解できる。

 

10x0.1

100x0.01

1000x0.001

 

すると、「ほぼ無限」x「ほぼ0」=1が成り立ちそうだ。

 

 

 

 

x1の分解効果

x1には、1つのものを分解する効果もある。

 

まず1を \dfrac{c}{c}で表現する。

 

 \dfrac{c}{c} c\times\dfrac{1}{c}と変形する。

 

 

abに c\times\dfrac{1}{c}という1を掛けると、acとbcに分解できる。

この計算テクニックはけっこう使われる。

 

 

 

 

分母の有理化

分数とは、分母の世界から分子を見ること。

分母に \sqrt{2}のようなルートがあると計算しにくい。

 

そこで分母のルートを無くすためにx1をする。

 

x1は、 \dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{2}}で構成する。

 

 

例えば、 \dfrac{1}{\sqrt{2}}

 

 

 \dfrac{1}{\sqrt{2}} \dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{2}}をかけると、

 

 

 \dfrac{\sqrt{2}}{2}

 

 

この処理を分母の有理化という。

 

 

 

余談:1割増に1割引を掛けると1になるか?

1割増に1割引を掛けると1になるか?

 

1割増しとは、全体を1とするとその10%を全体の1に足すこと。

つまり1x10%+1=1.1。

 

1.1に1割引の数字を掛けて1になるには、1割引の数字をひっくり返した値が \dfrac{1}{1.1}であればよい。

 

つまり、 \dfrac{1.1}{1}\times \dfrac{1}{1.1}=1

 

1割引とは全体を1とした時の10%を引くこと。つまり1-(1x10%)=0.9。

 

0.9は \dfrac{0.9}{1}。ひっくり返すと \dfrac{1}{0.9}

 

 \dfrac{1}{1.1}ではないので、1割増と1割引を掛けても1に戻らない。

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