割り算はひっくり返してかける?
分数の割り算はひっくり返して掛けると習った。
しかし、本当はx1をしているだけである。
分数のまま回答してよいなら、以下の状態でもよさそうだ。
何も、分子や分母が分数ではだめというルールはない。
でよい。
しかし、値のは見た目が気持ち悪い。
分母を1にした方が見やすいので、の分母であるを1にしたい。
1にするにはその逆数を掛けてあげるとよい。
=1となる。
そこでこのを分母分子にもってきて1を作る。
それを掛けてあげるのだ。
。
1をで構成する。
。
すると分母は1になるので、後は分数で構成されている分子の掛け算になる。
結果として、分数をひっくり返してかける形になっているが、やったのはx1。
割り算は掛け算
「割り算は分母分子をひっくりかえしてかける」というならば、割り算は掛け算だということだ。
その見方を得ると、割り算で違った風景が見える。
次の問題を解いてみよう。
問題:2ℓの水を0.5人で分けました。一人当たり何ℓ?
2ℓ÷0.5人=?
0.5人で割るとはどういうことか?
0.5は。
割り算なのでひっくり返して掛ける。
つまり0.5で割るとはをひっくり返してかけると同じ意味、つまり2倍するという意味だ。
は1x2と同じ意味になる。
ここで、と1x2の違いを見てみたい。
について
の式の最初の1をで構成すると分母が2で同じ値になる。
分母が同じなので、分子だけで見てみると2÷1
分数は分母を基準に分子をみている。
2÷1=とは、つまり、分母が1の世界からみて2(分子)あるイメージになる。
1x2について
一方、1÷を掛け算的に捉えると、ひっくり返してかけるので1x2となる。
1x2は掛け算。x2とは、1に2という性質を付与した意味。
計算式は同じなのに、割り算的にみるか、掛け算的にみるかで見方が変わる。
こういった見方は物理で威力を発揮する。
x1の計算テクニック
ある数字を掛けて、ある数字と同じ数字で割るとは、x1をしているに過ぎない。
たとえば、と同じ。
つまりx1をしているにすぎない。
同様に、2をかけて2で割るとはx1と同じ意味。
これは計算テクニックに応用できる。
50x2=100 (先に2倍)
100x24=2400
2400÷2=1200 (2で割り戻す)
x1の見通し効果
魔法のようなx1だが、見通しをよくするという効果もある。
たとえば、0.0001と0がたくさん付くと数字が捉えにくい。
そこで魔法のx1をしてみる。
0.0001x1
0.0001は0が4つあるので、1を0を4つ付けたで構成する。
するととなる。
0の数を4つにした理由は、0.0001の0を消して1にするため。1にすると数字が見やすくなるから。
0.0001よりの方が感覚的に捉えやすい。
1万に1つ、つまり、万が一という意味だ。
x1の顕微鏡効果
先ほどはしたが、逆にを掛けると、顕微鏡のように変化を見れる。
たとえば、は分母が2変化したら、分子が1変化する意味。
比で言えば1:2。
にを掛けると、となる。
は、ほぼ0の変化にも見えるが、そんな中でもという変化が読み取れる。
これは微分に繋がる話である。
余談:拡大x縮小=1
x1の見通し効果と、顕微鏡効果を見たが、もっと極端に考えれば1は以下のように分解できる。
10x0.1
100x0.01
1000x0.001
…
すると、「ほぼ無限」x「ほぼ0」=1が成り立ちそうだ。
x1の分解効果
x1には、1つのものを分解する効果もある。
まず1をで表現する。
はと変形する。
abにという1を掛けると、acとbcに分解できる。
この計算テクニックはけっこう使われる。
分母の有理化
分数とは、分母の世界から分子を見ること。
分母にのようなルートがあると計算しにくい。
そこで分母のルートを無くすためにx1をする。
x1は、で構成する。
例えば、。
にをかけると、
この処理を分母の有理化という。
余談:1割増に1割引を掛けると1になるか?
1割増に1割引を掛けると1になるか?
1割増しとは、全体を1とするとその10%を全体の1に足すこと。
つまり1x10%+1=1.1。
1.1に1割引の数字を掛けて1になるには、1割引の数字をひっくり返した値がであればよい。
つまり、。
1割引とは全体を1とした時の10%を引くこと。つまり1-(1x10%)=0.9。
0.9は。ひっくり返すと。
ではないので、1割増と1割引を掛けても1に戻らない。