単位円と三角関数
分母が1だと、分子の変化が捉えやすい。
三角関数で単位円(半径1の円のこと)を使う理由もそれである。
サイン、コサインと聞いて拒絶反応が出るかもしれないが、簡単。
サインシーターは以下のように書く。
sinθ
これは、sin x θという掛け算ではない。
sinθで、ある未知数を聞いている。
では、「ある未知数」とは何か?
sin(サイン)とは?
sin(サイン)は角度のことではなく、直角三角形の斜辺の長さ(=半径)を1とした時の、縦の長さをきいている記号。
con(コサイン)とは?
cos(コサイン)は横の長さを聞いている記号。
どちらも角度ではなく、長さを聞いている。
θとは?
では、sinθのθ(シータ)とは何か?
θは角度。
では、長さのsinと角度のθが合わさったsinθは何を意味するのか?
sinθとは?
sinθとは、斜辺でもある半径が、円周を回る際、θの角度が変わっていくが、各θにおける縦の長さのことである。
縦の長さとは、つまり、Y軸の値のことである。
単位円とは半径1の円。だから、半径でもある斜辺が常に1になる。
より具体的にsinθを説明すれば、この斜辺である1を分母とした時の縦の長さである。
sin cosの公式を改めて見てみよう。
単位円とは半径1の円だが、どちらも、分母は半径1になっている。
分母が1だから分子だけ見ればよい。
sinθが縦、つまりy軸の値。
cosθが横、つまりx軸の値を示している。
分数とは分母を基準に分子を見ること。
分母が1に対して、分子である縦や横の長さを比較している。
下記のイラストを見てもわかるように、とはa:rのこと。
つまり、半径r=1に対して、aであるsinθやbであるconθの長さを比較している。
意味がわかれば公式を覚える必要がない。
sinは縦で、cosが横であることはスペルの形から想像しやすい。
斜辺は単位円の半径。だから常に1。
その1は常に分母にくる。
sinθもcosθも1を超えない
sinθやcosθが長さならば、単位円においてそれらの最大は1。
例えば、cosθが2だと単位円から飛び出すのでありえない。
横も縦も最大の長さは半径の1を越えないので、sinθとcosθの最大は1である。
【補足】sin conは半径に対する縦や横の比なので、半径が2だろうが、10だろうが、比率は変わらない。比とはa:b。a:bは割り算a÷bのこと。a÷bとは、のこと。この時分母は半径。つまり、比の基準となる長さ。
sinθが1になる時とは?
sinθの最大は1。
sinθが1になる時のθは90度である。
θが0度の時は縦の長さは発生しないので0である。
分子が0の時だから、0÷1で0。
cosθが1になる時とは?
cosθの最大は1だった。
cosθが1になる時の角度は0度である。
θが90度の時は横の長さは発生してないので0である。
単位円の半径を1周させると、x軸、y軸ともに-1から1の範囲で動く。
従って、sinθ cosθは-1から1を行き来する。
くせもの、θ
θは角度。
しかし、θはくせもの。
なぜなら、θの時と、θ°の時がある。
何が違うのか?
θは長さで角度を表し。
θ°は角度を表す。
いずれにせよ、角度を表す。
円周は360°。これは度数法(どすうほう)という。
一方で円周を長さで表す公式は2πr (πは円周率3.14)(rは半径)。
単位円(半径1の円)であれば、
2x3.14x1=6.28という長さである。
半径1を360°フルに回転したら円周は6.28という長さになる。
逆に言えば、円周の長さが6.28ならば、半径1の単位円において、角度は360°とわかる。このように、長さで角度が表現できる。
θとθ°は似ているが、違う。
シータは角度なのに、「°」が無い時は長さ。
長さなのだが、その長さで角度を表わせるから不思議だ。
円周の弧の長さで角度を捉えることを「弧度法(こどほう)」という。
θって結局どこ?
以下のとおりである。
θ°は角度。
θは長さだけど、それで角度を表す。
その長さは、半径を基準にしている。
それを1個分円周に張り付けた角度が(1rad≒57.3°)
弧度法ってなんであるの?
なぜ「弧度法」が必要なのか?
例えば360°の円の紐を切って線にしてみてほしい。
「360°の長さ」って何?
長さといえば、単位はcmやmである。単位が「°」の長さは意味不明だ。
そこで、長さで角度が表現できる弧度法が便利というわけだ。
では、どうやって長さで角度を表現するのか?
半径の長さを利用する。
つまり、半径の長さを基準に、それを円周に張り付けていくのだ。
1radって?(ラッド)
単位円(半径1の円)において、360°=6.28であった。
両辺を360°で割ってみると、
つまり1°あたり0.01744程度の長さであることがわかる。
逆に6.28で割ってみると=約57.3°
つまり1あたり約57.3°ということがわかる。
この57.3°を1radと表現する。
1rad≒57.3° (≒ほぼ等しいの意味 ニアリーイコール)
1radの1という数字に°がないので、rad側に°が隠れている。
1radを省略せず書くと、1x57.3°という意味だ。
つまり
rad=57.3°
では1radの1は何か?
円周に張り付いている半径の個数である。
半径の長さ1個分を円周にペタッと張ると、ちょうど57.3°になって、それを1radと呼ぶわけだ。
それが6.28個分あると360°になる。
1radは半径1個分の長さを円周に張り付けた時の角度。
半径が変わると角度は変わる?
ところで、半径が1の時は円周は6.28であるが、半径が変わると円周も変わり、角度も変わりそうな気がする。
実際は、変わらない。
半径1個分:57.3°
という比は保たれる。
このように、弧度法は半径を基準に、それを円周に張り付けて、角度を求めている。
なぜ半径を基準にできるのか?
半径を円周の長さの基準にしてよい理由は、円周=2πrという公式からわかる。
2π=2x3.14=6.28
つまり、円周=2πrは以下になる。
円周=6.28r
これは、円周が半径rで決まると言っている。
rがどんな値であれ、上記の公式は成り立つから、半径を円周の基準にしてよい。
円周1周は何rad?
360°を57.3°(1rad)で割ると6.28。
よって、円周1周は6.28rad。
6.28は2πのこと。2x3.14。
1radは57.3°。
1radは半径1個分を円周に貼った時の角度。
つまり1rad x 6.28 = 57.3°x6.28 =360°
補足:57.3は少し数字が違う理由は、本当は円周率は3.14…と続くが、3.14で割り算をしているから。
r(半径)が1rad?
あれ?円周は2πrではなかったのか?この時のrは半径ではなかったのか?
円周は2πrだが、半径が1であれ10であれ、その半径を1つ分弧に張り付けた角度が1rad(≒57.3°)と言っている。
逆にいえば、1radは半径によらない。
よって、2πrのrは1radと捉えることもできる。
すなわち、2πr=2πx1rad=360°
そして、半径rがどんな値でも、1radは≒57.3°に変わりないので、2πrのrが省略され、2πが円周を表すことになる。
円周である2πrのrを半径と捉えていると、なぜ2πが円周になるのか理解できないだろう。そこには1radが隠れていないとつじつまが合わない。
1rad(角度)=半径r(長さ)
弧の長さがrθで求まるのはなぜ?
考え方1
2πr=360°
360°の内、θ°がどれだけ進んだかを表すために分数表記すると、
補足:rθで、なぜ半径rという長さに、θという角度を掛けると、円周の弧の「長さ」になるのか疑問だった方は、θがどこを表しているか明確でないからだろう。
またrθのrは半径でもあるが、その長さを弧に張り付けものでもある。つまり、半径でもあり、弧の1単位でもある。
θは弧の長さを表しているので角度には見えないが、θもθ°も角度を表す記号。θは半径を弧に張り付けたものを1単位として角度を表している。
考え方2
三角形の相似を扇形に応用してもわかりやすい。
左の三角形の相似から
b:a=d:c
これを右の扇型に応用すると、
r:1=L:θ
L=円周の弧の長さ
計算するとL=rθとなる。