1を積み重ねる

光のように、目に見えない速度もあれば、髪の毛の伸びのように目で捉えられない速度もある。だが、その速度は0ではない。

 

数学で点とは部分を持たないものだが、毛根の点は部分を持ち、やがて一本の髪の毛という線になっていく。

 

さて、幅1mmで長さ1cmの髪の毛1本を使って話を進めていく。

 

まずそれを10本並べる。

 

四角形が出来上がる。

 

イラストをざっくり描いているので、見にくいと思う。

申し訳ない。

 

 

面積は1mmx10で高さ1cm。

 

よって面積は、高さ1cm x 長さ1cm=1㎠。

 

次に1本ずつずらしてみる。

平行四辺形の出来上がりだ。

 

この平行四辺形の面積も先ほどの髪の毛をずらしただけなので1㎠

 

 

 

だから四角形の面積は底辺×高さでよい。

 

こんなぐちゃぐちゃな形で四角形に見えなくても面積は同じだ。

 

もっと極端にずらしてみる。 どれだけいびつな平行四辺形でも、面積は変わらない。

 

 

もっと極端にすると、面積が線のように見えそうだ。

 【余談】縦横1cmの紙を3人でわけると(厚みは考慮しない)1㎠÷3で0.333…㎠で割り切れない。

 

しかし、斜辺を3等分できる値、つまり3で割れる数にすれば3等分できる。

 

面積は線?

では今度は、一本一本の髪の毛を1行で繋げてみる。

 

この線の長さは1cmが10本あるので10cm。

この線の面積は1mmx10cm=1㎠。

 

補足:線の面積という表現は、線のようにみえる面積という意味だ。

つまり、数学上の線は幅を持っていないので、髪の毛を連ねたものは線ではない。

 

 

さて、今度は幅1mm長さ1cmの髪の毛を縦に10本並べてみる。

 

面積は1㎠。 それを斜めに切ってみる。

 

半分に切ったので、面積は0.5㎠。

 

 

 

それぞれの髪の毛を動かしてみる。

 

 

 

 

髪の毛をずらしただけなので、直角三角形も二等辺三角形も面積は同じ。

 

だから三角形の面積は底辺x高さ÷2となる。

 

 

 

さらに、三角形を二つ合わせると四角に戻る。

 

 

 

髪の毛で円の面積を調べる

さて、今度はその髪の毛で円形を作ってみる。

 

 

例えば1本目の上に角度を少しずつ変えながら重ねて円を作る。

 

直径が1cmなので、円周は3.14cm。

 

髪の厚みは1mmなので円周の3.14cmで割ると31.4。

 

つまり、髪の毛が半周すれば円の面積になるので、31.4本の半分15.7本で円が作れそうだ。

 

 

厚み1mm長さ1cmの髪の毛の面積は0.1㎠だった。

それが15.7本あるので、15.7x0.1㎠=1.57㎠

 

では実際、円の面積はそうなるだろうか?

直径が1cmの円の面積は \pi r^{2}

 

3.14x0.5cmx0.5cm=0.785㎠。

 

1.57㎠と0.785㎠で2倍違う。

これはどういうことか?

 

確かに、中心部分で面積のダブりが多そうだ。

 

そこでダブらない工夫をしてみよう。

 

 

三角形で円の面積を作る

円は三角形が重なってできていると捉えてみる。

ほぼ線のような三角形にする。

 

円から切り取る三角形はお尻に丸みがある。

よって、厳密には二等辺三角形ではない。

 

しかし、ほぼ幅のない線のような薄さにすれば、ほぼ同じと見てよい。

 

 

二等辺三角形と直角三角形は面積が同じであった。

 

 

直角三角形を合わせると四角形が作れる。

この四角形を髪の毛1本分だと見立てる。

 

 

すると円の面積は、その四角形を円周の半分の長さ分個用意するとできる。

補足:なぜ円周の半分でいいの?

対をなすので半周でよいから。

 

 

この対をなす四角形1個分の面積は0.05㎠。

 

それを円周の半分個まで足し合わせるので、

 

0.05㎠x15.7=0.785㎠

 

先ほどの円の面積と一致した。

 

 

 

三角形を一周させる

今、三角形を2つ重ね合わせて、円周の半分で計算した。

 

ということは、三角形をそのまま円周分重ね合わせても同じになりそうだ。

 

三角形の髪の毛の1つの面積は0.025㎠ 

 

それを円周分個足し合わせるので

 

0.025㎠x31.4=0.785㎠

 

円の面積に一致した。

 

なるほど、円の面積は三角形でできるのか。

補足:31.4の意味は三角形の個数。髪の毛の厚み1mmが円周3.14cmに何個あるかという話。3.14cm÷1mm=31.4

 

 

 

面積と線は違う

髪の毛は四角形であれ、三角形であれ、単位の㎠が示すように二次元の面積と言える。

 

それでは幅のない1次元の線を円周分掛け合わせることで円の面積は作れないだろうか?

 

線の長さは髪の毛と同じ1cmとする。円周は3.14cm。

半径rは0.5cmなので、円周2πrである3.14cmを掛けてみる。

 

面積は、1.57㎠となり0.785㎠と合わない。

 

上記を式で表現すれば

 

rx 2πr= 2\pi r^{2}

 

そもそも円の面積 \pi r^{2} の2倍となってしまっている。

 

円周分足し合わせて面積が一致したのは、ほぼ線のような三角形であった。

 

今、面積が2倍大きいということは、線は三角形なのか?

 

 

しかし、半径rの単位はcm等で1乗

三角形等の面積は㎠等で2乗。

そもそも次元が違う。

 

 

円の面積の2倍となってしまったなら、半径を半分にしたら計算が合う。

 

つまり、下記のように考えてみる。

 

 \frac{1}{2}r\times 2\pi r=\pi r^{2}

 

しかし、イメージに合わない。

 

 

 

幅の無い線で面積を求める

半径の半分はイメージに合わなかった。

 

そこで、円周の半分でも計算が合うので、その見方で考えてみよう。

 

円の面積は \pi r^{2}なので r\times \pi rとも言い換えられる。

 

つまり半径rに円周2πrの半周であるπrをかけているとも読める。

 

半径rに半周πrを掛けると円になるとはどういう意味か?

 

 

半周をかけて円の面積になったのは、下記のように、三角形を対にして四角形で考えた時だった。

 

では、半径rは四角形なのか?

 

 

しかし、

 

半径rの単位はcm等で1乗

面積は㎠等で2乗。

 

線と四角形では次元が違う。

 

線は、三角形でも四角形でもない。

 

 

 

そこで、次のように考えてみよう。

 

半径という言葉に騙されずに、半径を、ある円の直径だと見立ててみる。

 

そして、その直径(実際は半径)を半周すると円の面積になる。

 

 

 

以前やった下記のイラストを覚えているだろうか?

この時は厚みのある髪の毛を線と見立てて考えた。

 

その時は、中心部にダブりが発生した。

 

一方、幅のない線で考えると、ダブらず面積が一致することがわかった。

 

線に見える髪の毛と、数学の線は、意味が違うことがわかった。

 

次元が違うのだ。では次元とは何か?

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