タイトル
バランスのよい、お金の分配について考える
要点
「粗利益分配シミュレーション表」で、バランス感覚を把握しよう
説明
まず、大事な3つの視点である
「安定」、「成長」、「進化」の話の前に
お金の適正配分の話をしたい。
大半の社会人は、
労働の対価として、
給与をもらい、その給与で、生活する。
人は、食べないと死ぬ
食べるために、お金がいる。
一方、企業で言えば、
食べモノに相当するものが、
「粗利益」だ。
粗利が十分に足りないと、倒産する。
会社の活動と、個人の活動は、
ほぼ連動することを理解してもらいたい。
それを理解する一つのツールとして、
以下の表を活用してほしい。
この作業を通して、
会社運営と、一家の大黒柱の考え方は、
同じだということを理解してもらいたい。
では、
「粗利分配シミュレーション」について説明する。
分配項目は、9つある。
この9つで、すべてをざっくり網羅している。
例えば、1の「人権費」
【 】は、人件費の事を
個人レベルで例えたものだ。
「人権費」は、個人レベルでは、
「お小遣い」というイメージに近い。
では、手順について順番に説明する。
1.現在の年収を書く
単位は、「百万」がよい。
400万という意味だ。
2.人件費【お小遣い】を記入する
例えば、月にお小遣いを3万円もらっている人は、
3万円 x 12か月 = 36
そして、
その36万円を、年収の400万で割って、%を出す
次に、2の「経費」は飛ばして、3の「借金返済」を先に記入していく。
3.借金返済【各種返済金】を記入する
例えば、家のローンや、車のローンである。
4.同じように、9の株配当【親への仕送り】まで行う。
4の「設備費」は、
個人で言えば、「物理的なモノ」で、それを持っていると、
仕事上差別化できるものだ。
個人で言えれば、パソコンやスマホや、
パソコンにインストールするソフト代などだ。
仕事に役立たないモノのは、
計算に含めてはいけない。
企業の設備費は、それを導入することで、
他社との競争に勝つための費用だからである。
5の「研究開発費」は
個人で言えば、そのスキルがあると、
仕事上で差別化できるものだ。
例えば、
英会話、会計、web作成、プログラミングなど。
それらを習得するために使う投資額のことだ。
他者と差別化できるスキルはたくさんある。
4との違いは、
物理的なモノか、スキル的なモノかである。
6の「税金」は、こちらの数字を参考にしてもらいたい
計算しやすいように、ものすごく、ざっくりしたものを作成した。
市町県民税も考慮してある。
400万は、上から、3番目で、30%なので、
年収400万 x 30% = 120万になる。
7の「内部留保」は、貯金の事だ。
年にいくら貯蓄するかだ。
8の「責任対価」は、個人で入れば、
保険が近い性格のものである。
会社で言えば、役員賞与みたいなものだ。
一家の大黒柱として、大きな責任を果たす人の保険料を
これに見立てた。
生命保険など、各種、
「命」に係わる保険料を入れてほしい。
9の「株配当」は、親への仕送りだ。
企業は、資金を提供してくれた株主へ還元する。
それは、言い換えれば、いままで育ててくれた
親に対するお礼金でもある。
5.年収から、その他項目の合計を引いて2の「経費」【生活費】を出す
6.5年後の欄に移動する
「現在」の欄が終ったら、次は、5年後だ。
けっして、翌年の1年後に移らないでほしい。
なぜなら、たとえば、
今の時点で、あなたの子供が、中学2年生ならば、
5年後に、大学に行くためのお金が必要であることが
今の時点でわかるからだ。
したがって、
未来から逆算する。
このリンク先の資料も、参考になる。
ぜひ使ってほしい。
会社でも設備投資計画を作り、
将来必要な資金繰りを今から準備する。
この欄では、さきほどと違って、
2の「経費」の欄を先に埋めることができる。
6の税金以外を埋めていこう。
7. 税金以外を合計して、0.7で割り戻して年収を出す
50 + 200 + 96 + 20 + 20 + 20 + 24 + 10= 440万円
440万 ÷ 0.7 = 629万円
(税金の概算値を出すために、税金を30%と仮定して、70%で割り戻している。)
8.「ざっくり税金表」を参考に、税金を計算する
629万は、30%なので、これでよい。
計算すると、
629万 x 30% = 188万
累進課税なので、上記の計算は、基本的に
おかしいのだが、
ざっくりと、適正配分を理解する上では十分だ。
9.パーセンテージを計算する
各項目を年収で割って、%を出す。
10.同じように、4年後、3年後、2年後、1年後の順番で記入する
11.それぞれ年収の増加率を計算する。「緑色の囲い」
例えば、
現在400万で、1年後が444万なので、
444万 ÷ 400万 = 1.11
つまり、11%アップだ。
以上が粗利シミュレーション表の作成法である。
さて、ここからが、大事だ。
自分が作った数字をじっくりと眺めてほしい。
現実的だろうか?
まず、各項目のパーセンテージを
凝視してほしい。
みなさんも、気づくと思うが、
各項目の%は、年によって
大きく変動しないということだ。
例えば、年収に占めるお小遣いの割合は、
7.7%~9%の間で推移している。
これが、いきなり翌年50%とかには、ならない。
仮に50%にしたときに、年収がどうなるか、
計算してみてほしい。
現実的には、まず、あり得ないことだ。
頑張ったから、「おこずかい」を2倍にしてほしいとは
この表の意味が分かると、難しいことがわかる。
2倍お小遣いが欲しい時は、
分配率のバランスを取るために、
年収が2倍になっていないといけない。
会社の経営も、同じで、
多くの社長は、この%と睨めっこしながら、
未来のことを考えている。
国のGDP成長率と、上記表の11の年収の「増加率」は、
比較的、連動する。
GDPは、ざっくり言えば、企業の粗利益のことだ。
例えば、国のGDP成長率が2%ならば、
年収の増加率も2%になる。
これも、ざっくりだが、そうなる。
ここ10年のGDP平均(2005 - 2014)は、0.7%ぐらいなので、
みなさんの年収も、それほど上がっていないはずだ。
年収400万だと、
翌年403万ぐらいになっていれば
平均だ。
上の表は、
比較的よくあるサラリーマンの例を示したが、
年収増加率10%以上の年が3年もある。
日本全体が、平均で0.7%弱しか成長しない中で、
10%というのは、とても難しいことが
わかるはずだ。
どうして、自分の給与が上がらないかも、
よく理解できたと思う。
5年後に必要なお金がわかっている中で
現実を知ると、高い意識を持たざるを得ない。
一人一人の頑張で、会社に粗利益が確保され、
個人に分配されていく。
その分配されたお金で、
生活し、じっくりと理念を考えることができるのだ。
次回内容
イモずる式に、ポイントが理解できる、シンプルな粗利の公式について
ミルキヅク
【完】